メキシコ20世紀絵画展 

 

http://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/exhibition.html
 まあ、お目当てのフリーダ・カーロが1点だけで、しかもしょっぱなで終わりだったしー(笑)
 客寄せ…いや、目玉にしてる作品なら、最初に出しちゃあ勿体無くない?というのは素人考えかしら。
 でも、空いてたので、そのフリーダの本物(本邦初公開)、近くでじっくり見ることができました。花嫁衣裳のレースに織り出された模様が、絵もまた織物のように見事に描かれていて、ああやっぱりフリーダだなと(注:彼女の絵は体力的ハンデもあって小さいサイズが多く、その中に多くのモチーフを入れるため、非常にタッチが繊細。細密画っていうサイズじゃないけどタッチが細密画、と言うべきか)。しかしまだまだこんなんじゃフリーダの凄さは伝わらないぜ!と。密かに拳を握りつつ。でもしょうがないんだよね、フリーダの展示会じゃあないんだから。せめて写真の1枚もと思ったけど、1階終わり近くの静止画を順番にプロジェクターで映してるコーナーでは1枚だけ出ました。でも彼女の顔を元々知らない人には、集団の中で誰だかわかんないかもね。あ、そもそも展示されてるのが自画像だから、知らなかった人も憶えてくれたのかな。
 ともあれこれでフリーダのモノホンは大丸ミュージアムで見た1点と、Bunkamuraで映画と連動した展示会での数点と今回で…まだ十指に満たないや。
 ファンになって10数年…
 ああ、メキシコ行きてえなあ…
 フリーダについて以前ブログにした記事はこちら。
 http://masamunet.seesaa.net/article/81133115.html
 映画の公式サイト(まだあるのね…)はこちら。映画ではあるけど、ヴィジュアル的にわかりやすいので。勿論DVD持ってますがな!
 http://www.frida.jp/
 他の絵画は、申し訳ないんだけど私はメキシコの土着っぽいタッチが好きで、でもそれだけじゃないよって解説があったって、やっぱり土着でプリミティヴな感じは否定しなくたって凄くいいものだと思う。やっぱり…我々にはない強さというか。やっぱりあの歴史とあの気候が生んだものなのだなあと。
 しかし、マリア・イスキエルダが国から壁画を依頼された時、数人の男性画家(勿論今回も出品されている)に妨害されて実現しなかった、というのを解説で読んで、やっぱりいくら絵が描けてもあの国はマッチョなのか彼らが単に人間としてちっせぇ奴なのかは知らないが、ともかくも人間としてアレな野郎共だと思ったね(笑)
 同時開催として、名古屋の美術館が所蔵しているホセ・グアダルーペ・ポサダの版画も展示されてまして、こりゃーよかったですね。(関連記事:http://blog.point-of-view.jp/?eid=1134759
 メキシコと言えば骸骨です(ガイコツ好きの山口晃さんも多分好きでないはずはない!)。このポサダの「生きているガイコツ」の版画は、リベラなど多くの画家に影響を与えました。
 メキシコというのは、一言で言えば死を決して排除しない文化を持つ国。死をただ怖いだけのもの、普段は忘れておくべきものとはせず、敢えて直視して、時には笑い飛ばします。同時に、死だけではなく生をも。生も死も表裏一体。死は誰にだって怖いものに変わりないけれど、だからこそ、ないことにしようというのではなく、敢えて生活(美術や行事)に取り入れることでより一層強く、精一杯生きていこうという強さだと思うのです。こういう文化って凄いなと。死って、大抵は排除されるか、変わった人たちは妙に美化するかなのですが、メキシコは、自然に、どちらも人間の姿として、大らかに、ただそこにあるものと受け止めている。だから、私は結構好きというか、ここまで強くなれたらなあと憧れる国でして。そういう意味でもメキシコ美術が好きなんです。(メキシコのガイコツ文化との出会いは、中華街で売ってた、メキシコ製の、手の平に乗るぐらいのち〜いさい箱の中に、ガイコツが普通に生活している姿を作ったミニミニドールハウスでした。すげー!!と思いましたね…。買わなかったけど)
 この展示会は、同時に収蔵品展もやってまして(展示会は1階だけで、2階はこの収蔵品展)、1期は行けなかったので見られませんでしたが今は2期として「利根山光人とマヤ・アステカの拓本」という展示で、これもなかなかよかったです。でっかくて。某オーパーツネタ本に、「古代のロケットだ」って書かれてた絵柄の拓本も展示されてました(笑)。
 で、そこを出ると、「拓本体験」として、紙を当てて色鉛筆で擦って持ち帰るコーナーがありました。プラスチックかアクリルかを切って作った、メキシコの神の図柄。私は迷わずケツァルコアトル。”翼ある蛇”ですよ!(Wikiの記事はこちら)(ウィツィロポチトリはなかったなあ…)というわけで、今回の画像はその拓本。