レイナルド・アレナス『夜になるまえに』

夜になるまえに
夜になるまえにReinaldo Arenas

国書刊行会 2001-09
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star抜書き
star共産主義は何故国民を虐殺するのか
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 何でこう、中南米共産国ってのは無茶苦茶なのかなあ。そして中南米ってどうしてこうもマチズモなのかなあ。欧米におけるゲイ差別とはまた別の質の抑圧。そしてこういう、何重もの抑圧のある国の、抑圧に全部引っかかるような人間は、こうも破天荒、無茶苦茶な人生を歩まざるをえなくなる。自由の規定はないが、一応自由な国に生きていると、求めなければ自由が得られない国に生まれるとこうも大変なんだと、毎度のことながらこの手の本を読むと気分が重くなる。しかしこう言っては何だが、今の所はキューバやアルゼンチンの文学というと、共産とマチズモからの自由が独特のテーマになっているのも確かだ。逆に、自由になっちゃったら、どうなるんだろう。(わけのわからん感想で済まん)
 マヌエル・プイグ『蜘蛛女のキス』『ブエノスアイレス事件』も、とても面白かったし。
 しかし、難民として合衆国に亡命しても、この作家は、今度はまた別の差別や裏切りに遭う。結局自由なんてどこにあるのか。彼は結局、合衆国の市民権も取らなかったそうだ。自由に書きたくて国を出たけれど、捨てられはしない母国。亡命して幸せ、じゃないところも、一面の真実だ。紙幅は少ないが、亡命してから現れた真実も興味深かった。
 だけどこんなに苦労して、「書く」ために生きてきたのに、アレナスはどうして最後自殺しちゃうのかなあ。「生まれる場所も時代も選べないが、死ぬ時は選べる」っていうのはどうも私には永遠に理解できないことらしい。
 確かこの自伝、映画になってたよね…と思ったら、やっぱりなってた、っていうかこの国書刊行会版は、映画のポスターが表紙になっているのね(他の版もあります)。でこの映画、ジョニー・デップが出てるんだよね。『エド・ウッド』以来の女装で。ジョニデファンでも意外と見逃しがちな作品である。テーマがテーマだし、ジョニデが出てるってことはあんまり宣伝されてないから(「デッドマン」「ドンファン」「ブレイブ」あたりも、ファンの皆さんちゃんと押さえようね。特に「ドンファン」「ブレイブ」は、マーロン・ブランドとの共演が素晴らしいのだ)。で、これ、つい後回しになって、未だにレンタルしてないや…
 
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アスミック 2007-03-02
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