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世界人名ものがたり―名前でみるヨーロッパ文化 (講談社現代新書) | |
講談社 1999-01 売り上げランキング : 485158 おすすめ平均 名前に込められた意味と歴史 分厚いやつの入門書 例えば<ジョン>ひとつとっても… Amazonで詳しく見る by G-Tools |
一言で言っちゃえば、面白いウンチク本ですね。
著者が出している、分厚い西洋人名辞典への導きを兼ねている。そもそも新書というシリーズは、「入門書」の意味合いが強い本が多いと思うので、読んでから更に詳しい本を読みたいと思うか、齧って十分と思うかは読んだ人の自由。私はまあ、その辞典が図書館にあれば読むかもしれないが…そもそも、工具書は貸出してくれないか、重くて持ち帰れないか、まあ現物見てないので何とも言えません。
しかし、「世界」と言いつつ、欧米だけなんだよね。まあサブタイに「ヨーロッパ」とはあるけど、そのまんま「欧米人名ものがたり」でないあたり、いかに日本にとって「世界」とは欧米かという…未だに。というのは穿ちすぎでしょうか。
今日出かけた帰りに図書館でわざわざ新しい本は借りたのに、この本は返すのを忘れてしまったので、旦那にも読ませます。
『指輪物語』が好きな人は、トールキンが熱愛(偏愛?)した北欧文化やゲルマン文化発祥の名前の部分なんかはちょっといいかも。そうそう、「ペレグリン」は清教徒由来なんですが、「命懸けの旅に出る人」という意味があるんだそうです。
その名前を持つ有名人も例に挙げてあり、ほとんどはヨーロッパの聖人と王族ですが、現代の有名人や政治家、ハリウッド・スターなどやわらかめのものもあります。(ヨーロッパの王族についてはもう、読む端から血縁関係がわかんなくなっていくので、わかんないまま読み進むしかないです(笑)。完全に理解しながら読みたい方は、世界史年表の巻末にある家系図とか、各国王族の家系図本とかを広げながらどうぞ。)
しかし、「エミリー」の部分では、エミリー・ブロンテを挙げて、それゆえに、文学的なイメージのある名前、というような説明がついているのに、「シャーロット」の部分ではシャーロット・ブロンテは出てこない。
更に、「ケネス」が、アイルランド発祥でスコットランドに移って王の名前になって、とにかく非常に由緒ある名前だと言っておきながら、北アイルランドはベルファスト出身のケネス君、かのケネス・ブラナーが出てこない。ケネスという名前の有名人の例自体がないんですよ。これは多分…著者が、知らないんじゃないかと。有名な政治家とハリウッドスターまでは学者さんでも知っていたって、流石にケネス・ブラナーは、例え舞台芸術の世界で大変な人であろうと、知らないのかね。でもシェイクスピア劇の台詞だってさんざん引用されてる本よ。そことまた、シェイクスピア劇でばんばん活躍している舞台俳優ってのは知識の方向性が別なんだろうか。それとも、ケネス・ブラナーはこんな入門書を読む人間にはわからないとでも?おいおい他のマイナーな王族だっていちいち説明してある本でしょ。とにかくこれは物凄い手落ちとしか私には思えません。
とまあ、細かいツッコミを入れるときりがありませんが、入門書だからムスルーしてあげるべきなのか、入門書というやわらかいもんを書くんならあとちょっと常識があってもいいんじゃないか、どっちなんだろうなあ。毎度のことですが。