清水義範『夫婦で行くイスラムの国々 (集英社文庫)

夫婦で行くイスラムの国々 (集英社文庫)
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集英社 2009-08-20
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 こーれーもー面白かった。(私の「面白かった」には、「ためになった」「凄かった」「よかった」など、全部が入ってます)
 多分、「夫婦で」「イスラムの国々」に行くことはないだろうけど(いや単独でも行かないだろうけど)、素直で率直な体験記が平易な文章で述べられており(何か評論家口調だなあ)、読みやすくて、自然にわかる。日本人の色々な誤解も、漠然と「危険」ではなく、何がよくて何だけはダメなのか、という面も紹介されている。日本人の誤解の方が多いわけですが。
 本当に日本人はイスラムを知らないなあ。
 私は別にイスラム崇拝でも何でもないけど、「文化を持った人間は美しい」という著者の素直な感想には大いに賛成です。
 丁度、チョンマゲに刀を挿して堂々とアメリカに行った頃の日本人は、正にこの「文化を持った美しさ」に当てはまったのに、いつから日本人は自分たちは文化のない人間だと思いこんだんだろう。答えは簡単、そりゃ戦後のアメリカ文化のせいなんだけど。たかが400年の国に騙されて、勝手に卑屈になってアホみたい。正直、まともに戦えばあの国などでは遠く及ばない美しく深い文化と、優れた価値観があるのだ。何を勝手に負けているんだろうか。
 それに、折角、イスラムの国々が、日本のかつてのよさを見聞きして目標にしてくれている所もあるのに(勿論、彼ら自身の長く深い、それこそ世界の文明をかつてはリードしていた!歴史の上にだけれど)、今頃は本当に、アメリカの子分という見方が広まってしまったのだろうか。あのテロ事件以後のイスラム圏における日本の捉えられ方が「アメリカの手下」ではないかと、著者は危惧しているのだが、私も「そうだなあ」と思った。「何とかを見れば日本が見えてくる」は嫌いだけど、トルコと日本の友好関係(これ、最近もやっとTVでやってましたねえ。トルコの海難事故で日本が救助に協力したことは日本人よりもトルコ人の方が学校で習って知っているんだそうです)や、日露戦争の意味など、イスラムにおける日本を知ると、私たち自身がもっと日本を知り、誇りに思わなくてどうする!!!と、一番強く思ったのはそれでした。確かに、外から見ることで見えてくるものもあるし、とにもかくにも、知らないことはやっぱり勿体無いですね。