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岩城宏之のからむこらむ (新潮文庫)
岩城宏之のからむこらむ (新潮文庫)岩城 宏之

新潮社 1987-07
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star世間話

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 岩城さんとの出会いは妹尾河童さんの対談集『河童の対談おしゃべりを食べる』(新潮文庫)で、高校生ぐらいの時。親友であり悪友である2人の対談、他の悪友も含めた過去の悪戯話真面目な話。とても強い印象を受けた。大学に入り、クラシックファンになりたての頃に買ったCDが、岩城さんの指揮で、オーケストラ・アンサンブル金沢ヘルマン・プライによる、「オーケストラ伴奏によるシューベルト名歌曲集」。偶然だが、岩城さんがこのシリーズだったか、いや多分棒ふりシリーズの方だったかで書いている、プライの日本リサイタル(シューベルティアーデ)は、私も偶然行っている。大学を卒業する頃かその前か。プライの最晩年であり、最後の日本公演となった。私は「冬の旅」の日に行った。サントリーホールにはご存じのように舞台を囲むように、左右と背後にも席がある。私は舞台に向かって右の席で、プライを左上から見下ろす形だった。まあ、本物だなという感じだった。しかしこの強行スケジュールのせいでプライは金沢公演をキャンセル、岩城さんとオーケストラにはとんだトバッチリだったとは、棒ふりシリーズで知った。そのすぐ後、私が大学院生の時にプライは亡くなった。最後まで現役だった。
 岩城さんが、好きでしょうがないのはプライ、尊敬しているのはフィッシャー=ディースカウだそうである。うーん。私は好きなのも尊敬しているのも後者だなあ。F=Dは、あっさり引退して、後は後進の指導にあたっていた。これも彼らしい。彼が数人の生徒にシューベルトの歌曲をレッスンするという「趣味百科」(当時。現「趣味悠々」)は全て録画してDVDにしてある。
 つまるところ、ずっと昔に出会っていながら、面白いと評判のこの岩城さんのエッセイはやっと、倍の年齢になってから読むことになったのである。確かに面白い。そして正論だ。オススメである。大人のユーモアと辛口のエッセイ!
 そしてこの岩城さんもとうとう先年亡くなってしまった。悪友たちの哀しみはいかばかりだろう。
 他にも色々と芋づる式に思い出せることはある。ただ、書いている暇がない。つくづく、私の人生のピークは大学生の頃だったなと思う。ピークは2度来ないからピークなのである。数年前から私は自分自身の人生は引退して生きているので、ピークの頃の自分はもう生きていない。本当に、女性というのは、死んでからの人生が長い。長ければの話だが。
オーケストラ伴奏によるシューベルト名歌曲集
オーケストラ伴奏によるシューベルト名歌曲集シューベルト プライ(ヘルマン)

ポリドール 1997-01-25
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 これ、一時期よく聴いたなぁ。
シューベルト:歌曲集「冬の旅」
シューベルト:歌曲集「冬の旅」シューベルト フィッシャー=ディースカウ(ディートリヒ)

EMIミュージック・ジャパン 2008-02-20
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 ↓これ文庫絶版なのかな。絶版でもデータだけは出てくるはずなのに、Amazonでは出てこなかった。
河童の対談 おしゃべりを食べる
河童の対談 おしゃべりを食べる妹尾 河童

文化出版局 1986-06
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starおしゃべりとごはんの美味しい関係

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