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東京散歩 昭和幻想 (知恵の森文庫)
東京散歩 昭和幻想 (知恵の森文庫)小林 信彦

光文社 2005-03
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star「日本人は笑わない」(改題)

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 本当に、今自分に時間がないこと、1年先もわからないことが悔しい、書き手である(今後私は本当にこんなに暢気に物など書いていられるのだろうか?)。本来、もっと時間のある時に出会い、そして熱烈に褒めて宣伝すべき、書き手である。
 1冊1冊を書けばいいのだが、それよりももう少しまとまった、展望のあるものを書きたいと思いながら、それも何人にも対してで、結局誰のことも書いていない。
 最近ではこの小林さんと米原さんである。偶然だが、森茉莉さん関連の逃していた本を読むのと、米原さん、2人のマリさんがかぶった。
 ただ、個人的には、ここ1、2年で読んでいる本は、時を得ている。幸田文さん、小林信彦氏。本当に、東京の東側(実家からは皇居を挟んで本当にほぼ等距離移動した)に嫁いできてから出会って幸運だったと思う。
 こちらに越してくるまで、以前にも書いたが、普通に流れている川を見たことがなかった。橋が大きな境界になっている生活を知らなかった。堤防も見たことがなかった。(ちなみに、明治23年の大洪水から100年のシンポジウムも行なわれるそうだ。この洪水の時の写真を見ると、見慣れた風景が本当にとんでもないことになっている。この時は、今の荒川(正確には「荒川放水路」である)がまだなかったのである!)
 この齢まで幸田文作品を読まなかったために、今むしろ大変な実感を持って、水辺の風景、女性として母としての心情、関東大震災の爪痕―例えば、『きもの』にあるような―などを、読み、理解することができる。
 先に落語と推理小説の関連でお世話になっていた小林さんの、”東京エッセイ””都市エッセイ”をいちいち尤も!と頷き続けながら読める幸せも、川のある地域に住むようになったから、実家にいるよりも下町(江東、葛飾、足立ではない!本来の意味である「江戸城の下の町」のことである!)に近くなったからである。
 実家に居た頃は、住んでいる東京都内の知識として知っていた地名や位置関係も、実際に生活圏内、もしくは近くなってみると、本の中で言われていることの実感が本当に違う。
 幸田文の明治大正昭和とも、小林信彦の昭和とも勿論今は遠く隔たっているが、まさしくその歴史のつながりの先に今いて、そしてまた下町(過去のそれも、現在のそれも)が更に新しい時代を迎えようとしている。地元なんかは、かつての漁村と工業地帯が、今や私立幼稚園の出願時倍率3倍!(多分実際には1倍ちょっとで収まるのだろうが)というわけのわからん時代になっている。
 とまあ、それぞれが生きられる時間も、暮せる範囲も、ちっぽけなものだが、それぞれそういう範囲の中で生きていて、それぞれの世界があり、本の中で色々なものと出会う。願わくばその出会いがなるべく、心にちゃんと響く時をいつも得られんことを。
 (正直、小学生中学生の時粋がって読んだ難しい本なんか何にも理解できてないんだよね♪)
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 一番は、何と言っても著者とある女性の2ショット。本当に素晴らしい。この本を読んで下されば、どの写真かは1発でわかります。
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