「ロード・オブ・ザ・リング 王の帰還」。
昨日の分を昼間、今日の分をリアルで見る。
この映画は、映画館で第1部を4回だか5回だか、あと2本は10回以上観たわ、DVD持ってるどころか完全版まで全部集めて非売品DVDまで持ってるわ、原作は勿論関連本もほぼ網羅してオリジナルプレゼントも貰ったわ、レプリカの指輪2つ買うわ…
…とにかく、幾らつぎ込んだかわからない作品である。
詳しくはさんざんブログにも書いたのでそちらで。
丁度、20代から30代への移行、そして結婚の前と後という、人生でも大きな部類に入る転換期が丁度この3年間にあった。きっと今後いつ思い出してもしみじみする作品だ。
(以下ネタバレあり)
久々にあらためて観て、やっぱり、何て哀しい話だろうなあと思う。
早い話、壮大な「故郷喪失」の物語である。
第1部を観た後に原作を一気読みして、
「一番苦労した人間が一番報われない」
というとんでもない結末にしばし呆然とした。
トールキンが作品に込めた思いはあくまで自らが従軍した第一次大戦のものであり(大詰めのホビット庄の掃討は、戦争で破壊された故郷のイメージである)、その後もっと大変なことになった二次大戦は当然含まれていないし、彼の思想はあくまで大戦間の人のものである(今見ればやたら西洋文明万歳だったりするのは否めない)。
しかし、努力してもみんなのために頑張っても―――
But not for me.
大詰め近くでフロドが言うこの一言。これが、作品の全てを示している。
とんでもない人生の真実を突きつけられた気がして痛かった。
人は、努力すれば報われると信じて生きる。そうでないと頑張れない。
でも、そうでないこともある。
うーん、知ってはいけないことだ(笑)
原作を最後まで読んで、最初の感想は、「それでも彼らは幸せだったと思いたい」だった。
一番頑張ったことを誰もが認めるホビット4人。
彼らは結局一番悲惨な道を辿る。
本編終了後のことは原作の『追補編』にある。
本編のラストで故郷に残ることを許されず西の世界に船出したフロド。
メリーとピピンは、晩年をゴンドールで過ごし(メリーはローハンの、ピピンはゴンドールの騎士に、指輪戦争の一時期とはいえ一応なっているので、その縁)、結局2人のお墓もゴンドールにある。
物凄く、故郷から切り離されちゃったのである。
そしてサムもまた、短い間とはいえ「指輪所持者」であったため、妻の死後、西の世界に渡る(レゴラスとギムリも同様で、これにより、人間の世界がやってくる)。まあ彼の場合、別れてしまった主人と再会できたのだから幸福かもしれない。
何もかもを保ち続けることの難しさ。
作者にとって指輪物語とは中つ国の歴史(いやこれはパラレル古代史かもしれない)の1つであって、それ故に物語は指輪の消滅で終わらず、細かく細かくそれぞれの結末が書かれている。それがリアルで切なく、しかし、だからこそ指輪物語には尽きせぬ魅力がある。
何かを果たした後が幸福であるとは限らない。
しかしそれでもなお、人はそれぞれの”幸福”を胸に抱いて進むしかない。
幸せって何だろうなあ〜
そんなことを、観るたびに考える。