ヘンなゴハン

 「炊飯器で炊飯に失敗する」ということはあるのだろうか。
 あるのである。
 と言っても、炊飯器が悪いのではなく、私のせいである。
 やっちまったのだ、昨夜から今朝にかけて。
 昨夜の白い御飯は、朝から保温していた古いもの。これは、遅く帰る相方の分と自分の分をもうお茶碗によそってしまって、時至ればチンして食べる。何でかというと、翌朝つまり今日の朝食とお弁当用のものを炊かねばならないからだ(すぐやらないで忘れると大変なことになる)。
 で、お米をセットして…
 暫く経ってから、ボーボーボーという音に「!?」。
 今朝6:30の炊き上がりになるようタイマーで炊くつもりだったのを、うっかり「早炊き」スイッチを押してしまっていたのだ。慌ててスイッチを切り、あらためてタイマーに切り替える。
 ところが。
 今朝、炊き上がった御飯におしゃもじを入れて、
「!!??」
 何かヘン。
 もっちゃりしてる。
 粒が(特にお釜の円周に近い方)潰れているのが見てわかる。
 お水を多くして柔らかく炊いた時の、お米がピカピカキラキラしていて、お米とお米の間にはや〜らか〜い粘りがあって、でも粒同士は独立してますっていうあの甘〜い瞬間ではなく。
 セルフきりたんぽ。
 と言うときりたんぽに申し訳ないので誤解のないように。あれはおいし〜く炊けた秋田の豊富な御飯を、贅沢にも潰してまとめて煮て食べてしまおうという豊か極まりないメニューである。
 今回の失敗ゴハンは、粒の表面がガサガサに崩れて、粒同士はくっついているくせに噛むとボソボソしていて、まずいことこの上ない。お米のようなお米でないものを食っている感じ。甘みもほとんどない。つまり、噛みたくない。
 思えば、昨夜気がついた時、既にお釜の中は沸騰して、お米に火が入りつつあったのだろう。そこで止めて一晩…
 あああああ、あのまま炊いてしまえばよかった。これに比べたら一晩の保温ぐらい何だ。ああああああああああ。
 ついに、「御飯を残す」ということをやってしまった。乗っけた納豆とその味がついたところしか食べられなかった。
 朝食のみならず、当然お弁当もなのだ。
 でもお弁当は残すと面倒なので、上に乗っけた「おかか昆布」の味と、お茶で強引に流し込んだ。おかずと調整しつつ、ではなく、とにかく御飯を必死に片付けて、ゆっくり冷凍食品を噛みしめる、というヘンなお弁当になってしまった。
 お米、ゆめゆめ油断せざるべし。許しておくれ、3合の御飯よ。
 これは誰の言葉だったか忘れたが、昔竈で御飯を炊いていた頃の女性の話で、
「うまく炊けたなと思った日なぞ、一生で何度もなかった」
というのを思い出した。
 ああああ、炊飯器がある時代に何をやっているのだか。
 (しかも、最新の炊飯器では、硬さ、お米の種類などを組み合わせると何と500通り!!!!にも炊き分けられるそうだ!)
 …だからというわけではないが、相方の希望で今夜はうどん。
 明日の朝はパンの予定。
 明日夜の炊き込み御飯でリヴェンジだ。