訃報:実相寺昭雄さん

 しーえーえー。
 http://www.mainichi-msn.co.jp/shakai/fu/news/20061130k0000e060016000c.html
 まず思ったのはですね…
 この記事のような直近の予定には書かれてませんが、来年7月に、二期会オペラ「魔笛」の、この方の演出による再演が決まってたんですよ。
 これ、初演は舞台で観てまして…別に、この人だからって、演出家としてこの物語に対する解釈は何ら出していず、途中でウルトラ怪獣が出てくる以外何の特徴もないですけどね(今のところこのオペラの演出は岡村喬生さんに1位をつけます)。あんまり演出家が突っ走りすぎてひどい(今年4月の二期会皇帝ティトの慈悲」とか…金半分返せと思う)のも困るし実際多いけど、あまりに素直に何もしないで楽しむだけっていうのも、「演出」って言えるのかなあと。しかもこれだけ有名な実相寺さんという人を掲げておいてこれじゃなと。ま演出に関してはそう思ってる舞台です。
 前回2005年の再演(BSで放送したのを見ました)でも、目立つのは衣装ぐらいだし、この、漫画家のデザインした衣装っていうのが、イラストの時点ではぶっとんでるにせよ許容はできるのに、実際にはオペラ歌手の体型に合わなくて大変なことになってて、初演より更にドン引きしてしまった。
 この「実相寺魔笛」には、ネット世界にも、演出方針と衣裳に関しては同じ感想を書かれている方がかなり多いですね。
 まあこの世界にもマニアは死ぬほどいるので、各歌手や演奏については詳しくは言いません。
 勿論二期会、基本的にはいい歌手揃いですよ。前出のティトだって、歌手は素晴らしかった!特にセスト役!(ブログで褒めたいと思いつつ7ヶ月…)
 で、実相寺魔笛、三度目の正直で次回はどんな試みが出るのかなーと、昨日「二期会通信」(愛好会会報)で読んだ思ったばっかりだったんですよ〜。
 この公演の演出は誰かに代わるのかしら。 
 まあ、オペラの方はともかく(これって向き不向きがあると思う)、大傑作「D坂の殺人事件」があります。あれは乱歩映画史上最高傑作だと思います。実相寺演出のシンプルでいて原作世界をよく理解した表現と、真田広之の正に”役者馬鹿一代”の演技。この作品が未だにDVD化されないようじゃ日本の芸術はおしまいです。
 乱歩のオムニバス映画「乱歩地獄」では、「鏡地獄」を担当。結局この人のこれが4本の中では一番でしたね。
 すいません、ウルトラマンも何も見てないのですが…あと最近では、これも見てませんが「姑獲鳥の夏」。漱石世界を映像化した「ユメ十夜」。
 まだ69歳。生きていてさえくれればあと10年はこうした素晴らしい映像作品を作れた方なのに…勿体ないです。