阿川佐和子『どうにかこうにかワシントン』(文春文庫)

 どうにかこうにかワシントン
 楽しいワシントン便り。英語が喋れるわけでもなくアメリカに詳しいわけでもなく、でもパンピー?とは違ってさりげに適当な知り合いがいたりして、どうにか生活が軌道に乗り、8ヵ月後、日本に一時帰国するまで。
 あとがきにもあるように、確かに、所謂留学情報、現地情報としては役に立たないが(笑)、海外に飛び出して暮らす時には、常識と度胸だな、と思った。私にも、外国での1人暮らし、しかも彼女と同じく、特に目的はなく、とにかく一度海外に暮らしてみたい、という思いは昔あったことを懐かしく思い出した。
 私の場合はそれが中国。
 大学院1年の終わりに北京に行って、観光ツアーだったのでいちいち下車して楽しめなかった市場や、夜の自由時間に行った地元向けの食料品店などが楽しくて、やはり「暮らし」てみたい、と思ったのだ。夏休みか、それとも修了したら1ヶ月かそこら。当時、1万円あれば北京でも1週間暮らせた(多分)。そして実際、往復チケットとホテルがつくだけでフリーで1ヶ月間、という旅行パッケージがあり、これがせいぜい20万円ほどだった。
 実現はしなかったのだが…
 この北京旅行は私の最初の海外旅行で、その後新婚旅行まで時代は飛んだが、やはり行った先のロンドンにも、翌年行ったパリにも、住んでみたくなった(笑)。今の所私は海外の行き先と幸運な出会いをしている…
 というより、都会人なので結局都会が肌に合うのだろう。多分所謂「リゾート地」では、夫婦して退屈して、海辺でネットをやっていそうな気がする。とにかく交通が便利で、何でもすぐに手に入る場所でないと耐えられない。こう言うと偉そうと思われるかもしれないが、日本の地方都市や所謂田舎より、海外の首都の方が性に合いそうだ。
 つまり、私も、アメリカならニューヨークよりワシントンが合う、かもしれない。
 ウラジーミル・ナボコフ、中西秀男訳『ナボコフの一ダース』(ちくま文庫)
 ナボコフって、どっかで聴いたと思ったら『ロリータ』ね!
 この『一ダース』は、『ロリータ』より少し前の短編集。うーん、「前衛小説」ってわっかんない。ごめんよナボちゃん!『ロリータ』は、忘れなかったらいつか読むからね!