PROMISE

PROMISE (無極) 特別版 [DVD]
PROMISE (無極) 特別版 [DVD]
ワーナー・ホーム・ビデオ 2006-08-04
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 こないだ地上波でやってて、折角なので観ました。
 普通に良かったですよ。
 これこそ、真田広之が〜とか映像が〜とか日韓中のスターが〜とかこれでもかこれでもかと話題は探さんでもあるような映画でしたけど、実際は、普通にストーリーが面白かった。
 むしろあんまり、ストーリーじゃないその周囲、正に「話題性」ばっかりが先行し強調されていたのが、目くらましみたいになっちゃってるかもしれないので、それは勿体ない。物語としてなかなか面白く、そこそこ感動できます。
 孤児の少女が気紛れな女神と交わした、
「あらゆる男の寵愛と何不自由ない暮らしの代わりに、一生真実の愛は得られない」
という約束(PROMISE)を発端に、めまぐるしく変化する3人の全く違う男たちの運命。長じて美しい王妃となった少女と、大将軍、その俊足の奴隷、大将軍の命を狙う嫉妬深い公爵。
 そもそも神様というのは、時々、どう考えても退屈しのぎでしかなさそーなちょっかいで人間に迷惑をかけるもので(笑)、のっけからそういうありえないっていうか寓話的っていうかそういう前提をも、話が進むにつれて納得させてしまう迫力がある。当然、「どっか架空の国の話」という設定も、「どろろ」のように浮いては見えない。
 よくよくほじくってみると、1つ1つのキャラの設定やエピソードは古今東西の伝説や奇譚、小説(俊足のクンルンなんて、水滸伝に出てくる、足にお札を貼ると飛ぶように走る誰だっけみたいね)に想を得ているのだろうし、それをいちいちわかる人もいると思うけど、そういうの全部が上手くまとめあげられてます。
 まあ、重要アイテムと思しき「花鎧」とか「黒いマント」の出所来歴の説明は全然足りてないけど(劇場版とか資料とか見るとわかるのかな)、そのへんも許される範囲かなと。(何で花鎧を公爵も欲しがるんだろ?何で黒いマントは公爵の持ち物で、大将軍に着せたかったって言うんだろ?とか色々ね。)
 (あー、途中で虐殺される「北の部族」の風俗が、ぶっちゃけどう見ても弥生時代の日本で、そこはちょっと不快だったかなぁ。)
 あの刺客さんも良かったな〜(松重豊くりそつでした)。彼の最後のセリフなんか、中国的美学っつーか。
 勿論、ストーリーの良さを生かすのは俳優陣であって、特にニコラス・ツェーチャン・ドンゴンには大満足。
 ニコラスについては、昔の作品しか見てないので、「ま〜大人になっちゃって〜」という感想が一番だけど(笑)(これって、「グリーン・デスティニー」におけるチャン・チェンと同じだ(笑)。「ブエノスアイレス」の頃は可愛かったぞ〜)
 しかしあの公爵、どーしていちいち座るの?(笑)「人間椅子」には笑ったぞ!雰囲気が「中国の谷原章介」って感じでした(笑)
 チャンは初めてまともに見たんだけど、普段はもっとオシャレな役をやっているのかな?今回は純朴極まりなく、あの性格が結局運命を覆すわけで、彼に比べると真田広之の大将軍、悪いやっちゃな〜(笑)
 そして、この濃すぎる三者三様がクライマックスで見事に切なく爆発。真実が明らかになった瞬間、全ては崩壊したというべきか再構築が始まったというべきか。
 この、「最後にバタバタッといく」が、中国映画って好きね〜。「さらば、わが愛」とかも、ラストはあれよあれよと…だったし。
 普通にあのままハッピーエンドにしてもいいのにわざわざああいう風に持っていくっていうのが、かなり中国的というのかな。「インファナル・アフェア」=無間地獄であったように、この「PROMISE」が原題「無極」というあたりも、中国的な、「終わらない物語」好みを表しているように思います(この「PROMISE」は文字通り「終わらない」けどね)。

 (そうそう!衣装デザインが正子公也さんなんですね〜。うーん、こんなでかい仕事をする人とは…(すいません)。こーゆー所まで細かく国際的とは驚いた。
 正子さんの、光栄の三国志のパーフェクトブックとかそのへんの解説書以来のファンです。一時期は画集買おうかってぐらい好きだったな〜。
 確かに、この人のデザインだと言われてみればそう思えるかな、ってぐらいですが…)