森茉莉、小島千加子編『マリアの空想旅行』(ちくま文庫)、赤瀬川原平『赤瀬川原平の名画読本 鑑賞のポイントはどこか』(光文社知恵の森文庫)

 後者。まえがきが実に簡にして要を得、という感じ。私は美術展に行くと、どの絵もじっくり見るというタイプではなく(お金が勿体無いとは思うけど…)、自分が興味のない作品はもう「素通り」に近い人なので、どんな展示会も「見る」というより「通過」になってしまう。でもそれでいいんだそうである。「名画だ」というだけでじっくり見なくてはならなかったり、理解しなくてはならないわけではないらしい。自分の目で見ること、だそうだ。そうだ、自分の目を磨くのだ!…先は長いけど。
 この本に採り上げられた作品はどれも有名どころの絵だけれど、勿論有名だから採用されたわけではないことは、赤瀬川さんの解説を見ればわかる。勿論、彼の言う「鑑賞のポイント」が万人のポイントではなかろうが、好き嫌いや自分の興味で、見たい絵を見て楽しめばいいのだ、ということはわかる。