はかる

 午前中は、助産師の「新生児訪問」というやつで、私の住所地を担当する助産師さんが家に来た。
 子供が生まれたら、母子手帳と一緒にもらった連絡用葉書を、自分の地区を管轄する保健所に出すと、この「訪問」があったり、予防接種のお知らせが来たりする。だから忘れずに出さねばならないのだが、すっかり忘れていて、退院して1週間ぐらいしてから出した。まあ大体、生後1ヶ月頃にあるものなので、それぐらいに出しても問題はないのだが。
 アンケートがあったり、気になることを質問したり…というもので、そもそも赤の他人が家に来ることなど滅多にないので、小学校の「家庭訪問」ってこんな感じかなあと思った。(しかし…前夜19:00過ぎに電話してきて、「明日の朝10時はどうですか?」はないと思うが、他に用事もないので承諾した。朝10時ねえ。できればノビていたい時間だ。お蔭で今朝は必死こいて居間兼寝室を片付けた。)
 体重を、助産師さん持参のばね秤で量る(丁度前夜、NHK「プロフェッショナル 仕事の流儀」で見たばかりだった)。3,200g。1日33g増えているから、正に基準(1日30g程度)通りだ。これで来週の1ヶ月検診には、出生時より1kgは増えているわけだから、これも基準通りで、「発育が悪い」と言われることはないだろう。
 もしそれが子供なりの個性だとしても、子の成長が悪ければ親のせいのような気がする、それは一生続くのだろう。
 「女性は競争心の塊だ」と評したのは確か山口瞳だった。この言葉を既に入院中から痛感していた。
 昼間、夜中、新生児室(兼授乳室)で、他の母親と一緒になるたびに、比較、比較、比較だった。「あのお母さんはもう搾乳できるほど母乳が出ている」「あの子の方がうちの子より飲むのが上手い」「あのお母さんの方が熱心に授乳室に来ている」…。親同士、子供同士、私の受け取り方が競争している。他の人はどうだか知らないが。
 比較をするということは、即ち、その相手に勝ちたいということだ。何が勝ちなのかわからないジャンルでも。そんなことはバカらしいし、自分が勝ったつもりでも相手は何も感じてない、とわかってはいるのだが…やめられないんだなあ(笑)。
 家に帰ってきて本当にほっとしたのは、これで暫くは人と比べる機会がなくなると思ったからだ。1ヶ月検診のことも今は考えず、検診の当日も、余り他の母子と見比べないようにしよう。先は長いのだ。