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 永井路子『乱紋』上・下(文春文庫)
 

4167200074乱紋 上 (1)
永井 路子
文藝春秋 1979-01

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4167200082乱紋 下  文春文庫 な 2-8
永井 路子
文藝春秋 1979-01

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 日本史上最も有名な三姉妹のお話。
 怖いわ〜♪姉妹って怖いわ〜♪
 とまあ、昼ドラちっくに片付けるのは簡単ですが、実に深い作品ですねえ。
 最後に天下を取ったのは、才長けてしかも美しい姉2人ではなく、美しくもなく一見愚鈍かと思われるほど何事にも無感動なおごう。
 でも、一番高い地位に上ったから幸せなんだろうかとか、生きがい死にがいって何だろうとか、夫婦の「仲のよい」とはどういうことなのかとか(おごうと3人の夫それぞれの関係を通じて)、月並みですが、色々考えさせられる長編でした。
 永井路子『美貌の女帝』(文春文庫)
 
4167200171美貌の女帝
永井 路子
文藝春秋 1988-08

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 これも、今や定説となっている、「藤原光明子立后は、それまで150年続いてきた蘇我女系天皇家の断絶」という事実を最初に提示した作品。(ということは、杉本苑子大仏開眼』とかは、パクり!?)
 この永井さんの作品というのは、
 1)歴史において果たした女性の役割を現代的視点から考察して的確に言い当ててはいるが、何でもかんでも現代に置き換える(例えば大河「功名が辻」の最初の方のアヴァンタイトル=これも不評だったのか早々になくなったが=のような)愚を犯して、「フェミニスト」なる人種を徒に喜ばせることはしていない。
 2)1945年の皇国史観崩壊を創作と歴史観の原点とする「戦中派」(山田風太郎より3つ年下)だが、その10年ほど年下の所謂「疎開あがり」(永6輔とか美○○宏とか)のような、やたらなひねくれ方はしていない。
 という特徴にまとめられるんではないかと思う。