10/13〜14

 永井路子『「太平記」―古典を読む―』(文春文庫)
 「太平記」―古典を読む
「太平記」―古典を読む

 いやー、とことん私の中で、最近、中世史がブームになってますね(笑)
 前にブームだった高校生の頃を思い出します(笑)
 『太平記』って、なかなかシビア&皮肉だけど、かっちょいい書物ですね。
 天子と雖も徳なきは天子ならず、と、絶対者というものを認めない著者の姿勢、いいですね。
 その、高校生の時の、第一次ブームの時には、赤橋守時討死のくだりだけは原文で読んだんだよね〜、懐かしい。(ついでに、吉川英治私本太平記』も、同じ場面だけ読んだ(笑)←いずれは通読せねばなるまい…)
 永井さんはこの本のあちこちで、『太平記』と『平家物語』の違いを指摘していらっしゃるのだが、いちいちその通りだと思う。この2作の比較って面白いんですね。『平家』は公家社会から武家社会への大転換という時に、やっぱり平家は公家っぽいところがあるのに対して、もう『太平記』になると、鎌倉幕府が滅びるというだけで、武家社会が続くことに変わりはないので、より武士の最後らしい死に方の人々が続く。
 巨福呂坂〜。番場宿〜。
 特に番場宿!懐かしいっす。
 この番場宿ってのは、六波羅探題北条仲時、即ち赤橋(北条)守時の弟が、兄と同様、足利尊氏が裏切って挙兵した時に戦死した場所。
 で、何でこれが超なつかすいかと言うと、件の高校時代(笑)、湯口聖子さんの『風の墓標』というコミックスで読んだからなんだな〜。このコミックスの主人公が、どう転んでも幕府が滅び行く時に生まれ合わせてしまった北条家の面々=守時、仲時、高時なんです。ボニータミックス。私は少女マンガというものを基本的に読まないんだけど、この作品は、後輩が「ちょうどその頃を描いた漫画があるよ」と貸してくれたもの。この、ボニータとか花とゆめコミックスとかって(後者はこないだの『北走新選組』とか)、とっきどき突然、こういうドマイナーなテーマの漫画が出るんだよね。勿論絵柄は当然、物語も目一杯少女な切り口でセンチメンタルですが。
 もうね、だから無茶苦茶可哀相なのね。私とことん「幕末」では佐幕派なんだけど(笑)この「幕末」における北条家ファンにはたまらんとです。私はこのコミックスで兄に続いて弟にも惚れてしまった。まあこの兄弟に限らず、この『「太平記」』で永井さんが指摘している通り、『太平記』では、家来を助けるために死ぬ武将が多い。仲時も、兄同様、家来を助けるために自害してしまうんです。
 で、何でこんな昔の漫画が、また復刊しとるんでしょーか(全5巻)。時代の風は再び中世に吹いているのか!?
 私は多分…買えないです。哀しくて読めないと思う。
 風の墓標 (1) (ボニータコミックス―夢語りシリーズ)
風の墓標 (1) (ボニータコミックス―夢語りシリーズ)

 風の墓標 (3) (ボニータコミックス―夢語りシリーズ)
風の墓標 (3) (ボニータコミックス―夢語りシリーズ)