義務が第一、自分は次―『クイーン』
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うん、いい映画でしたね。映画館で見てもお金を損したとは思わないし、映画館で見逃しても、じっくりDVDで楽しむ価値がある。(私も映画館で観たかったのですが、単館系だったので近くだと渋谷のみ、行けないことはなかったけど渋谷に行くついでの用事がなくなってしまったので観られませんでした。)
あらためて色々と書きたいものですが、今日は時間がないので。
一言で言えば、やっぱり英国というのは「大人の国」だなと。よく、”モラルよりマナー”と、特にあの国の貴族階級は揶揄されるけれど、それのいい面が出ているなと。この映画は、大人の国の、大人の映画ですね。(何でもかんでも爆発してドンパチやってりゃいいというハリウッドが逆立ちしても出来ないですな)
ダイアナ元妃の事故死も、フランス革命同様、これからそろそろ揺り戻しが始まるのかもしれません。この映画は、妃の死後約10年ということで、この揺り戻しの始まりを見事に捉えて、やや王室寄りなストーリーになっています。
王室をここまで映画にしちゃっていいの、と、日本では考えられないようなことでありますがそれも大人ですな。ただ、中立よりはやや王室派である分、ダイアナ派へちょっと譲歩?か、王室の中ではややエディンバラ公が悪役に描かれていたかな…(でも、彼の、元妃への意見が本当に辛辣だったとしても、元妃と同じように外から来た人で、物凄く女王や王室に気を使ってきた人生だったから、何で自分がしてきたことが彼女にはできないんだと思うからこそ余計そうなったんじゃないかなあと思いますねえ)。
主演のヘレン・ミレンがアカデミー賞主演女優賞を獲ったことは記憶に新しいですし、映画の質は高いと思えたのでそれなりにいい演技だったのでしょう。でも、頑張ったと言えば、副主人公であるブレア首相を演じたマイケル・シーンや、王室の面々を演じた俳優さん、みんなよかったですよ。
私のイチオシシーンは、クイーン・マザーとクイーンの母娘の会話ですね〜。*p1*[読書日記]加瀬俊一『ヴェルサイユ宮廷の女性たち』(文春文庫)
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このへんの歴史については、主に鹿島茂さんの本で面白く読ませてもらってます。それに加えて、この『〜女性たち』ということでまああらためて3代の治世を通読したというところです。
今から考えると革命派も無茶苦茶やってるよなー、とは誰しも思うところでしょう。あと、当事者(王と王妃、特に王妃)の方は、歴史の大きな流れの時に生まれ合わせてしまった不幸も感じただろうけど、やっぱり身近な人間が実は自分を悪用していただけで、さっさと国外逃亡してしまったとか(ポリニャック夫人とかね)、そういう直截的な裏切りはもっと辛かっただろうなあ。
今では、当然ながら革命に対する見解も揺り戻しを経ているから、王妃に対しても大分同情論があるようですね。特に、嫁いでから10年ぐらいは、「若気の至り」的な許され方というか。そういう中で例の映画もあったし(映画自体は単なるプロモーションビデオだったけどね〜)。
「世界ふしぎ発見!」の、この映画便乗(この番組って、TBSが絡んでもいない映画でも、便乗好きだよね)企画のマリー・アントワネット特集の時、パリの街の人への、彼女についてのインタビューで、まだ10歳いくかいかないかという男の子が、
「女の人にギロチンはかわいそうだよ」
といっちょまえに言っているのを見た時は、「流石おラテン人!」と思いましたねぇ。