ローレンス・ブロック 阿部里美訳『快盗タナーは眠らない』(創元推理文庫)

快盗タナーは眠らない (創元推理文庫)
快盗タナーは眠らない (創元推理文庫)ローレンス ブロック 阿部 里美

東京創元社 2007-06-20
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 実はブロックには、昨日書いた有名2シリーズ以前に、この「エヴァン・タナー」シリーズがあった。何とこの第1作は1966年というから、バーニイものの11年前…っていうより、邦訳が出るまで31年!!!という驚きの方が甚大。
 「快盗」とはあるけれども泥棒でない。どっちかというとスパイ。朝鮮戦争で頭に銃弾を受け、かすり傷だったのにそれ以後何故か一睡もできなくなり、有り余る時間を有効に学習に使い、普段は論文の代筆で大きな利益を上げている。そんな彼が一儲けを企んでトルコに行ったものの、ちょっとした手違いでいきなり拘束されたことから、話はあれよあれよと違う方向に転がり…
 ハードボイルドでもバーニイの洒脱さでもなく、でもちょっとドタバタありの急転回もの。普段の仕事が知的労働というのは、ドン・ウィンズロウのニール・ケアリーシリーズをちょっと思い出させる(ニールは勉強で稼いでいるわけじゃなくてそれが本業のはず…だけど)。
 以後も同じ文庫で出るそうです。解説によれば、1998年が最新刊で、その前作とは四半世紀も空いており、タナー自身も何と冷凍睡眠されていた!!!という仰天設定。どこまでやるのブロックさん。