ローレンス・ブロック『泥棒は深夜に徘徊する』
泥棒は深夜に徘徊する ― 泥棒バーニイ・シリーズ (ハヤカワ・ポケット・ミステリ) | |
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ローレンス・ブロックは、こりゃもう大好きな作家ですから、もしかしてそろそろ…と思って検索してみたら、やっぱり出てましたですよ今年の夏。(実は今年の夏ってラッシュらしくて、先日のE.D.ホックのホーソーン先生シリーズもだったし)
何とですな、前作『泥棒はライ麦畑でおいかける』を読んだのは2001年(原書1999年)、結婚する前でしたよ。その後もブロック作品はいくつか読んでたんで、あれバーニイってそんなに前だったっけ、という気もしますが。
このシリーズ、訳者(この方も大好き、田口俊樹さん)あとがきによれば、今年で原書第1作発売から30周年!!!!!なんだそうです。途中で11年空いたこともあった由ですが(あんまし気にしてないけど。リアルタイムじゃなく結婚前にまとめて読んだから)。しかし長寿シリーズですねえ。
そして、相も変わらず、「盗みに入る→ちょっとしたヘマで、関係ない殺人の罪を着せられそうになる→仕方ないので自分で謎を解く」というパターン。そりゃ、推理小説に出てくる泥棒は泥棒探偵に決まってますが、同種の方々である、E.D.ホックの怪盗ニックほどカッコよくはなく、勿論ルパンほどラテンでなく、移民系アメリカ人の軽妙洒脱な泥棒さん。異性の大親友キャロリン(彼女はレズビアンなので、恋愛関係には発展しませんが、何もかも飲み込んだ最高の友)、幼馴染で早とちり大好きな刑事レイと、今回も楽しいかけあいを見せてくれました。
ただ、これも訳者あとがきにある通り、今回は殺人の嫌疑は早々に晴れてしまって、あとはバーニイ自身の趣味で謎解きをしてしまうんですが、それが何故なのかという説明は一切なし(笑)。流石はブロック。訳者が間違いや矛盾を指摘しても、「君の考え方は正しい、ハッハッハ」で済ませてしまう作家(『緑のハートをもつ女』で、「ヒバチ」でステーキを焼いたのも、スルーしてあげよう)。
とはいえ、面白いこと、とにかく会話がウィットに富んでいて楽しいこと、そして全ての伏線が(というかあれもこれも伏線だったのか!という驚き)一挙に収斂する結末まで、今回も楽しませて頂きました。そうそう、バーニイって、泥棒のくせに、最後は「皆を集めてさてと言い」なんですよね。それで呼び出されてノコノコやってくる人たち(当然犯人も含まれている!)も随分人がいいと思いますけど。
さて、ブロックと言えば、最初に出てくるのは”アル中探偵”マット・スカダーですが、私が一番好きなのは”殺し屋ケラー”シリーズ、2番目がこのバーニイ、そして最後にスカダー。実はバーニイシリーズが1つだけ明るい作風で、スカダーは無茶苦茶マジだし、ケラーはウィットに富んではいるけど基本はダーク。
さて、ケラーの方は日本では2作のみですが、あちらでは更に短編集も出ているし、日本でも単発でミステリ雑誌に邦訳が掲載されたりしてます。そのへんをちゃっちゃとまとめてほしいのですよ二見文庫さん!切望してるですよ!
…なんつってたら出てるし!
てゆーかおととい!!!
うわーすんげえ偶然!(神様っているのね〜買うわ、買うわ早速♪←ケラーLOVEな人)
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そして今回の訳者あとがきによれば、最新長編でこのシリーズはおしまいだとか。なにィ〜ッ!!(同じくスカダーも終わりそうらしいですが、確かにこちらは、スカダーもトシだし、もうアル中じゃないし、そろそろ引退時かな…)
とにかくっ、とにかくっ、早くケラーを邦訳でもケリつけて下さいっ。田口さんっ。
そしてバーニイはまだ頑張れるトシなんで、頑張ってねv
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