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 宮田昇『戦後「翻訳」風雲録―翻訳者が神々だった時代』(本の雑誌社)
 戦後「翻訳」風雲録―翻訳者が神々だった時代
戦後「翻訳」風雲録―翻訳者が神々だった時代
 確かに風雲録だ。戦後の翻訳出版に関わった翻訳者、編集者、出版者etcの嵐の日々を、元早川書房社員、のち翻訳出版エージェントとして生きた著者が、個人的回想の形で詳細に綴ったもの。
 いやしかし…やっぱり、ものを書く人間や、本を出す人間というのは、アクが強すぎて、申し訳ないがかなり読んでいて精神的にきつい本だった。息苦しい本だった。翻訳の”神々”たちには、私は主にハヤカワ・ミステリ文庫でお世話になったものだが、触れ合うのは作品だけでいいと思った。勿論戦後翻訳出版の歴史を知りたい人には、貴重な本の1冊だろう。
 なお、『新編戦後翻訳風雲録』は、続編かと思ったら増補改訂。しかも増補だけならともかく削った章もあるので、結局両方読まないといけない。書く側は、後の方のものがよりよい、決定版だ、と思うけれども、こうして結局両方読まないと必要な情報は全部得られない、ということはよくあるんだよなぁ。
 新編戦後翻訳風雲録 (大人の本棚)
新編戦後翻訳風雲録 (大人の本棚)