百年夢を見ていたい。―「ユメ十夜」(おでかけ日記)

ユメ十夜
ユメ十夜
 これは、「奇妙な原作の映画化」というジャンルのものとしてはもう、カスが多いんで、あんまり期待してなかったんですが…割とよかった。同じくオムニバス作品である「乱歩地獄」(これはわざわざ映画館まで観に行った…)なんかよりもずっといい。まあ、「乱歩地獄」よりも1篇1篇が短いのでボロが出ないというのもあるかもしれないけど。
 タイトル通り、原作は漱石の『夢十夜』。新潮文庫からは『文鳥夢十夜』として出ていたかな。私がこの原作を初めて読んだのは確か中学生の頃で、文庫本を持っていた親友に借りて。もう、「へー、漱石ってこんな(つまり、変な)話も書いてるんだ」ぐらいにしか思わなかったのですが、いつだったか確か大人になってからも読み返したことがあるんじゃなかったかなぁ。
 で、この映像化ですが、冒頭は実相寺昭雄監督ーの、久世光彦脚本ーの、金魚のお話。この一発目の出来の良さ(ま、この監督にこの脚本ですからね!)で、入って行けました。主演は、久世作品といえばの小泉今日子
 他も、松尾スズキのトンでもブッ飛んだものあり、天野喜孝監督によるアニメあり、漫☆画太郎脚色の最終夜あり。
 松尾氏…あの、『夢十夜』の中でも特に有名な、運慶と仁王の頭の話が……こんな風に!!しえ。でも、「これは夢なんだから何でもアリ」ってことで。
 そうだ。山本耕史君も出ているのだ。出てるって事を、確か、この映画を作ってる頃には聴いた憶えがあって…すっかり忘れてた(笑)。彼が出てくるのは切ないお話。
 あっそうそう。これも有名な、背中の子供が重くなる話の堀部圭亮香椎由宇。香椎嬢、こないだ、一体いつのだっていうコナンの実写版(小栗君のやつね)を録っといたのをやっと観た時も思ったんだけど、まあすんげえ美人だわね(でも、クオーターなのか…済みません、純粋日本人でこれだけ綺麗だったらもっと言うことないんだけどね…)。ちなみにこの作品では、6人目!!を妊娠中の漱石夫人を演じております。
 キャラかぶっ…もとい(私が一瞬区別つかなくなっただけやん!)、「乱歩地獄」にも出てました緒川たまき嬢(「ナチュラル・ウーマン」からはもうすっかりノーブルキャラへ、見事な転身♪<皮肉です。)も出ております。
 一押しは、第一夜と並んで最終夜。これ、すごいよ。何がすごいって本上まなみ。アンタすごいよ。いいのこんなのやっちゃって。ファンは一体どんな反応を。そして受けて立つは、今を時めく、としかもう言いようのない松山ケンイチ君。いやー、この人、ホントにキレイな子なんだなとあらためて思いました。…そして。この最終夜の、このハチャメチャな中に、ある大物俳優が、しかもチョイ役で出ているのだ。これにも驚いた。ハハハ。話がわかるなあこの人。ちょっとスカしてるというかインテリっぷりが鼻に付くこともあるのだが、この作品のこの役で登場、を受けたんだからちょっと見直したよ。
 他、藤岡弘、御大、プロローグとエピローグには戸田恵梨香嬢が出ております。
 百年って、短いんでしょうかね、長いんでしょうかね。