沖幸子『ドイツ流 掃除の賢人―世界一きれい好きな国に学ぶ』(知恵の森文庫)

ドイツ流 掃除の賢人―世界一きれい好きな国に学ぶ (知恵の森文庫)
ドイツ流 掃除の賢人―世界一きれい好きな国に学ぶ (知恵の森文庫)沖 幸子

光文社 2005-08
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おすすめ平均 star
starシンプルな掃除術
starこれでお掃除がんばってます
star確かにいいのですが

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 お掃除の本は沢山ありますね。私も松○一代のとか持ってます。
 で、大体このテの本に書いてあることはおんなじようなことです。
 私が既に実践してることも沢山書いてあります。
 具体的な方法というよりは心構えの部分を再確認ってことですかね。(掃除の方法については本当に色々異論があるんですよ…。例えば、掃除機とクイックルはどっちを先にした方がいいかとか…。)
 ただ、「世界一きれい好きな国」というのは、何を根拠に?
 確かに、ドイツ人が掃除好きで、日本で「すっごくきれいにしてますね」という家がドイツでは「普通」というのも聞いたことあります。
 冬の長いヨーロッパでは、日本よりも、「室内での快適な生活」へのこだわりが強いことも有名です。それこそ鬼のように床や家具を磨き上げ、冬をいかに屋内で楽しく過ごすかがヨーロッパ文化では多くを占めています。
 でもこれは気候とその延長上の気質の問題であって、掃除の上手い下手、几帳面だだらしないだという話ではありません。
 このテの、つまり外国の何かをお手本にしよう、という本にありがちな落とし穴は、「その国がベスト」という書き方になってしまうこと。この本の、内容はそうでもありませんが、タイトルにこう書いて引っ張ろうというやり方はイカンですね。(この著者の本じゃないけど、余りにも英国マンセーなので批判されてる本もありましたねえ)
 日本人だってものすごくキレイ好きですよ。幕末から明治にかけて来日した欧米人が、日本について一番びっくりしたのは、キレイ好きなことと子供を凄く可愛がるということでした。(注:レビューは全然してませんが、一昨年ぐらいに、幕末〜明治に来日した外国人が書いた本を死ぬほど読んだ)
 家はきれいにしているしシンプルだし、清潔。確かに、他のアジアの国々に比べると、清潔の観念はかなりのもんだと西洋人にもわかったんでしょうね。細かいことを挙げれば、「懐紙」を使い捨てにすることにすんごく驚いてたりとか。西洋人はハンカチで鼻かんでそのまま使いますからね。でもそれが戦後、今度は日本人がアメリカの生活を見て、「キッチンペーパー」を使い捨てることに「文明」を感じてしまうという誤った方向に行っちゃったのは惜しまれます。懐紙を使い捨てるのは清潔という観点から見て正しいです。でも、日本手拭の便利さとキッチンペーパーの文化は根本的に違います。まあ戦後の日本にはこのテの勘違いは掃いて捨てるほどあって、それが一番の問題なんですが。
 話がそれました。
 まあドイツ人のメンタリティはわかるとして、ゆめゆめ、この本を読んで、日本人は掃除がヘタとか、日本の文化は掃除に向いてないとか、思われませぬように。
 でも…「汚い家に幸せは来ない」(by松○一代)、家を掃除して片付けてきれいにするといいことがある、というのは本当だと思います。
 「そろそろ…」と思ってクローゼットを片付けたりこまめに掃除する習慣を作ったりしたら、実に大きな幸せが来ましたからね。
 出不精でおうちの中大好き人間なんで(だからデブ性…とも言う!!!)、これからも家の中はきれいにしよう。