F.M.E.(From Middle Earth)1―”ひとつの映画”

 9月22日、何故かふと思い立って、物凄く久しぶりに「ロード・オブ・ザ・リング」3部作SEE(完全版)DVDで観た。
 実に、5年半ぶりである。
 それなのに感動は全く変わらないことに驚く。素晴らしい映画である。
 というわけで、物凄く今更だが、自分でもびっくりするほど憶えていることあり、あらためて考えたことあり、とにかく思い出せるだけ浚い出してみようという、6年半後のロード・オブ・サ・リングである。
 久しぶりに新しいカテゴリ「From Middle-Earth」と銘打ってみたものの、私は映画第一部後に原作の第二部からとにかく追っかけて読んだ組なので、余り偉そうなことは言えないし、簡単に言えばもうこれだけ経っちゃっての「繰り言」である。
 また、ネタバレはバンバンしているし、原作と映画両方を知っている方を主に対象にしている文章なので、原作も映画も知らない、もしくはどっちかしか知らない、という方は、もし興味を持って下さったならとても有難いが、「続きを読む」以降がある文章の場合は、「続き」は自己責任でお願いする。

 今日は、第3部RotKの特典DVD2枚を(時々早回ししながらだが)観た。
 ああ、私はやっぱり5年前(第3部公開時)から、魂はミナス・ティリスに移住しちゃってんだな…とあらためて思った。
 何でこんなにこの映画が好きなのか、と言ったら、一言で済む。
「とことん本物作っちゃう凝り性映画が、正に私のドツボ」
だからだ。
 勿論、フルCG、合成はもとより、錯覚を利用した古典的手法やビガチュア(でっかいミニチュア)といった「テクニック」もあるけれど、建物の一部は完全に本物を作っちゃうとか(エドラスの黄金館とミナス・ティリスの玉座の間、あれは神だ…)、衣装も武具も馬具もみんな本物だぜというあの凝り性も凝り性なとこね(笑)。あれあのまんま取っといて展示でもしてくれたらよかったのにね。でもセットはもう全部ないし、小道具大道具も倉庫の中。
 (余談だが、偶々2003年に新婚旅行で訪れたロンドンの自然史博物館で映画LotRの展示をやっており、詳しい展示解説や実際に使われた道具が見られたのは正に奇跡。小道具が私の背より高い大きな透明な箱の中に詰めてあったのだが、そのいちばーん底の方にエルフの3つの指輪のうちの1つがあった…(笑))
 元々歴史好き、ヨーロッパ中世好き、イギリス好き、だし。
 この映画は私にとっては正に「ひとつの指輪」ならぬ、「ひとつの映画」である。
 普通の寿命からいったら私はまだ半分にも達していないのだが、どうもこれが結局は私の一生の一本になる気がする。何故なら、私は映画を観るという趣味はなく、映画館には滅多に行かない人間だからだ(答えは簡単、出不精でケチだから!)。まあそんな人間の「一生の一本」なんて説得力のないことこの上ないけれど、私の中ではそれで大満足。
 まあ、ものすごーく、マニア的に、フェチ的に、細部まで、そして出演していた方々の他の作品まで買い漁って観てしまったぐらいハマったという事実そのものに比べれば、この作品が丁度3年に亘ったが故に私の人生の大きな転換期を含んでいた、なんてことは瑣末事である。
 結婚する前の、自由で子供だった私。結婚を控えた私。新婚の私。(そしてそうでもない(笑)今は、子供を持った私。)
 そういう時期が、第1部、第2部、第3部それぞれの記憶と一緒になっている。
 しかもそれは、ただ「その時期にやっていた」からではない。
 「その時期は毎週観ていた」からだ。
 レディースデーという便利なものがあり、毎週水曜日は女性は1,000円だから(元が高すぎると思うけど…)、毎週毎週観た。
 「この映画は、上映している限りは、一度でも多く映画館で観ておきたい」と思ったから。
 映画館で観ることにこれほどの意義がある映画を他に知らない(だから、アンタそんなに観てないでしょって(笑))。ニュージーランドの風景=中世ヨーロッパの風景=中つ国を、一度でも多く、スクリーンで観ておきたい。それに実際、何度見てもいつも楽しみになるぐらい好きだった。
 台詞を憶えるぐらい、という喩えがあるがその通りだったし、次の回が始まるまで外で音が聴こえてくるだけでどの場面だったかわかるし、なのに何度観てもやっぱり楽しかった。
 第1部はまだそれほどでもなく、10回観たかどうか。だが第2部は10回以上、第3部は最低14回は観ている。
 第2部は、続きが待ちきれず、先行上映(初日1週間前にレイトショーで1回上映する)を、4時間並んで観た。
 それは、今は無き「渋谷パンテオン」で…
 あの映画館がなくなったのも、私の中で渋谷の終焉というか…
 私にとっての「映画」はやっぱり「渋谷パンテオン」と「渋谷東急」だったなあ…と思う。(現在、「東急」の方はツインタワーだったか、渋谷の外れの方に移っている)
 主な映画はほとんど、あの「東急文化会館」で観た。この建物に1階にパンテオンと、他の階に東急が数館入っていた。そして最上階は「五島プラネタリウム」である。ちゃんとしたドームタイプのプラネタリウムだ(ここも無くなる直前に行った)。しかしこの建物そのものが東急の資金難もあって売られたとかで、取り壊された。若い方のために言い添えておくと、現在の副都心線の駅が跡地である。
 そういうわけで渋谷も、小さいスクリーンばかりではないものの、何だか世の中全体がシネコンになっていくようで淋しい。(渋谷TOEIもそんなに大きくないしな…やはりパンテオンが懐かしい…)
 話を戻すと、毎週水曜、会社の帰りに渋谷で観て帰った。始まるまで、コンビニのおにぎりをかじっていた。これを「ロード・オブ・ザ・リング難民」と私は名づけた(笑)。旅はその日の朝から始まっていたのである。
 週末に入籍を控えたその水曜にも、第2部を観ていた。
 第3部の1回目は結婚して1年になろうとする頃の2月に旦那と。丁度その頃私は1月の誕生日に風邪を引いてから色々ちょっとおかしくなって所謂ドクターショッピングみたいな状態になっていて、その日もものすごーく頭痛がしている時にシネコンの最前列(笑)。あのちっこいスクリーンで最前列って、ゴラム等身大よ(笑)。そしてますます頭痛は激しくなり…今では懐かしい思い出(笑)
 まだこれから第1部、第2部の特典と、第2部のSEEをまた観直したいんで(アラゴルンとエオウィンの切ない絡みがいいんだ…)、こないだから通して、今回は7泊8日ぐらいの旅かな(笑)
 思えば、このブログの方を始めたのは2004年7月末。P.D.ジェイムズ同様、「大好きなのにブログ以前だから採り上げてなかったもの」だから。ブログの方にもちょこちょこと何かまとまっていないものは書いた気がするのだがかなり昔のことだし検索がめんどくさいので探さない。あくまでも、思い出せるだけ、思い出せる時に書く。
 ただ、ひとつだけ確かなのは、死後の世界はミナス・ティリス希望(笑)。
 多分死んだらまっすぐあの白い都に行けそうな気がする(笑)。
 そこにはまだ、長命を約束されたドゥーネダイン、エレスサール王陛下も、執政にしてイシリエン大公ファラミア殿下もいらっしゃることでしょう。

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