ピーター・ラヴゼイ『処刑人の秘めごと』
処刑人の秘めごと (ハヤカワ・ノヴェルズ) | |
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え?今は?うーん…
美しいジョージアン・タウン、バース在住、昔気質の警視ピーター・ダイヤモンド。Amazonのお勧めとして一緒に出てくるのがフロスト警部というのも当然で、太り気味、顔は「悪くない」と書かれているものの、魅力的とは言えない50歳過ぎ。ダルジール警視といい、確かドーヴァー警部(byジョイス・ポーター)といい、どうしてえげれすの名物刑事はみんなでぶっちょなの?(笑)
3年前に妻を殺されて以来ソッチの方はご無沙汰。しかし事件はやっぱり起こる。「連続首吊り処刑殺人」、強奪事件、しかしもっと大変なのは、ある女性の方から彼に近づいてきたこと!
捜査そのものはあっちこっちへ引きずり回され、面白くなくはないのだが、一番の大事件と言える、警視の女性問題については、ネタが割れ過ぎ。警官に近づいてくる女の目的なんてわかりすぎるほどわかるでしょ(笑)。ラヴゼイほどの作家なら、女性に他の目的があることぐらいは読者にもわかるだろうことは、もうわかっていたのかも。その上で、導入部や、謎解きの過程の巧みさに自信があったのかも…
が。
やっぱり、犯人が早い段階でわかってしまう作品では、我慢して読むのも大変だった。
残念。
そんなに簡単に、主人公のプライヴェートが事件に関わるんじゃあ…
袖(だっけ?)には、「男と女の愛と業を謎に絡め」とあるけど、全然そんなんじゃないし(笑)
うーん…やっぱり何か、「落ちた」なあと感じる。
もうこれでラヴゼイもおしまいなのか。
『偽のデュー警部』も、ヴィクトリア朝ものも、素晴らしかったのに…
この人の作品は『絞首台までご一緒に』以外は全部読んでます。短編もすんごく面白いんですよね。『マダム・タッソーがお待ちかね』、とか、短編集も最高でした。
ダイヤモンド警視シリーズも、昔は本当に面白かったのに。
上記の通り、警視の妻ステフは、前々作で殺されてしまった。勿論、警視も容疑者の1人に。
これには私同様、憤慨した読者が多かったらしく、多数の非難の手紙が来たとか。
当然でしょ(笑)。
作者の側からすれば、これも読者の推測通りだったわけですが、今作の訳者あとがきによれば、「余りにもダイヤモンド警視が身近な存在になりすぎたから」。つまりは、「気分を変えたかったから」ってことですね。そりゃあ読者は誰だって、ここまできて妻を殺すなんざあ、ネタ切れか?と思うわけですよ。やっぱりその通りで。
これには、ラヴゼイほどの作家が…と、非常に残念に思います。
勝手に焦ってこんなことしなくたって、ちゃんと読者はついてきてくれただろうに…。
むしろ、別に警視の新たな恋愛か?なんてネタには引っ張られませんよ。
故に、今作で出会った女性とこれからどうなろうと、私は知ったこっちゃありません。
「落ちた」っていうのを、もっと具体的に言えば…
うーん、安っぽい作りになった、っていうのが一番近いかな。
ついでに言うと、邦題もストレートさを避けようとして却ってわけわからなくなってる感じ。
これと、今日は同じ作家のノン・シリーズも読んだ。
あとは、日本人のエッセイ。記録(自分でつけてるエクセルの表)につける気にもならない。