幸田文著、青木玉編『幸田文しつけ帖』(平凡社)
幸田文しつけ帖 | |
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しかし露伴の教え方、ものの言い回しがいちいち知的なんですな(笑)。辞書引かないと出典わかんないよ!的な(著者も実際時々辞書で調べたというくだりがあります)。
父親がこういう父親である上に、昔の日本家屋での生活の大変なこと!昔はもとより、多分、今の道具があったって、木だけでできている日本の家の掃除にはむしろ向かないんではないかというぐらい。
勿論今の私はフローリング(床、ではないのですな)の雑巾がけすらしないのだが、今日は偶々、子供が昼寝をしている間に少しずつ続けているワックスのかけ直しをしながらこの本を読んだ(ワックス剥がしでゴシゴシこすってワックスを落として、水拭きを繰り返して完全に洗剤を落とし、ワックスをかける、そのワックスの乾燥する間に)。そして今度こそはこの床をきれいに保とうとか考えた。今の実家に引っ越す前の実家には障子があったのでその貼り直しは母がしており、祖母の家に行けば普通の一軒家だから雨戸というものがあり、夕方になるとそれを閉めてこいと言われるのが私は雨戸が重いので大嫌いだった。まあつまり、一軒家の経営には全く無知で、多分一生マンション暮らしで、その方がいいような私である。
著者にも娘、そしてその娘にも娘で、うちも偶々娘なのだが、女の子というのはイベント事も多く、この本にも著者の娘の初節句のくだりがあった。そこで著者は、立派な雛人形や幔幕を買うなど一通り整えてやって親戚も招いてお祝いをしたのだが、後で姑や父親にも、「ああいうやり方は、かえって子の持っている福分を、いたずらに費やすものだ」と、「痛い注意をうけた」そうだ。
うちもつい1人娘ということで、おもちゃも同じ種類のものをいくつも買ってあげてしまうし(例えばボールだったら1個あればいいのに4つも5つも…)、服も、既に沢山持っているのに、可愛いのを見つけると注文してしまう。その他その他、ついついついついついついの連続である。
でも、そういう時、自己満足と同時にやっぱり、本能的な「怖さ」も感じるもので、それは何故だろうと考えていたのだが、今回、「子の持っている福分を費やす」という表現で、非常に納得がいった。
そうそう、何かね、あれこれしてあげたり買ってあげたりして一瞬の満足感の後、「どうもこれは何か後でまずいんじゃないか」という気がするんですよ。そうかそうか。それは無意識に、「私が何もしてあげられなくなった時にどうするんだろう」という心配だったり、「何でもやってあげたら、将来何にもできなくなるよなあ」という常識的な答えだったり、そんなまあ諸々含めて、「将来の福分」「将来の自分の力」を奪ってしまう、と言えるのかもしれない。何をしてあげ、どうほっとくのか、難しいもんである。
とりあえずは、新しくお雛様を買わないで、祖母の家に置いてある私の時に買ったお雛様の全部じゃなくてお内裏様とお雛様だけだけ母に持ってきてもらってよかった(笑)。初節句がそれで、今年の2回目のなんぞはもう、母が昔作った和紙のお内裏様とお雛様を持ってきてもらい、自分でも折ろうと思ってキットを買ってきてもらったのだが難しくて作れず。母が作った方の説明書なんて、読んでもちっとも頭に入らない始末。うん、心配しなくても私、何にもしてあげられないや♪(一応、ちらし寿司と蛤のお吸い物は毎年作ってます)
あと、露伴が、「親というものは、自分が受けた通りの教育と、自分とは全く逆の教育を子供にはしてみたいものなのだ」と言って、娘である著者には家事を叩き込み、その弟である息子には好きにさせていたという(露伴自身は、男児ながら、小さい頃は家のことをさせられていた)。それもわかる〜〜〜。自分の趣味に付き合わせたい…いや、自分の得たいいものは伝えたい、一方では、料理も掃除も何もさせず生活感ゼロ、教科書と漫画だけ読んで他の本は一切読まず、ファッションを研究して常にみっともなくない格好をして、適当に、普通の男性にモテる女の子、にしてみたい気もする。そうそう、家のことなんて何もできなくても、例えば理系の勉強をガンガンして、手に職の仕事につけば並よりお金が儲かって、お手伝いさんを雇えばいいし外食で好きなものを食べればいいし、何より、手に職がないゆえに「男に頼る人生」を歩まなくてもいいんだもんね(自分の反面教師です)。そうすると本当に、自分のことは何でも自分でできる人間でなくても、勉強ができて、いい職業について、稼げればいいんじゃないかという誘惑にも駆られる。基本的には好きにしろと言いたいのだが、今時は何でも早い時点で決めておかなくてはならないので、さてあと何年で私と子供は、この重大な疑問に結論を出すのだろうか(笑)。