5/?『子宮、応答せよ。』

子宮、応答せよ。−−筋腫警報発令中
子宮、応答せよ。−−筋腫警報発令中
講談社 2010-04-27
売り上げランキング : 2095

おすすめ平均 star
star沢山の人に読んでもらいたいです。
star女子必読
starほっとする読後感

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 この本を読んだのは先週の木曜日ぐらいだったかなぁ…。
 図書館に入った途端に新刊のコーナーで「バン!」と目に入った。いや〜、つい、女性系のワードには目が引かれるようになってんですね。借りるのは恥ずかしいので(っていう状況がまずいけないんだけど…)館内で読んで帰るつもりが、子供が帰りたがったので借りて帰って、家で一気に読みました。
 まず絵を気に入ってしまって…総称すれば結局「可愛い」ということになるのですが、トボケてて、ちょっと黒くて、いい意味でおまぬけで…好きですね〜。他の漫画も読みたくなったのですが図書館にはなく、買うかどうか検討しているぐらい好き。
 内容は、絵が可愛いので読んでしまいますが、シリアスです。元々月経の超重かった著者。40歳を過ぎて受けた検診で、巨大な筋腫が発見され、入院、手術。
 しかし、子宮そのものよりも筋腫の方が大きくなるまで「騙し騙し」だったのは、決して本人だけのせいではありません。確かにご本人にも、婦人科系ということで消極的にならざるを得ないところがあったのは当然だし、そもそも昔ちゃんと病院に行ったのに、医者に「これぐらい平気」と若い頃に言われてしまったりと、実に不幸。とはいえ、当時としては(今から20年ぐらい前)、医者としてもその程度の認識だったのかもしれません。
 でも正にそこに一番の問題があって。
 「悪性になることがない」ということが最大のネックなんですね。死なないんだからいいでしょっていう。(卵巣のう腫の場合は悪性化することもありますが)
 それに、持ってる女性は結構いるし、という。
 でも、死ななくたって、筋腫が巨大化するととんでもないことになるわけで、もうそれがどんなに大変かというのはこの本を読んで頂ければわかるわけで。私も、過多月経というものがあるのは知っていましたが、その大変さは初めて知りました。一言で言えば月の半分が血まみれなわけで、これが比喩でなくホントに血まみれなわけです。それなのに、「死ななけりゃいい」のかと。生活はどうなるんじゃと。
 ところが、日本というのは女性、つまり正にその「女性の生活の質(QOL)」に対しておっそろしいまでに無関心な国で。
 病気そのものの悲劇と、社会的理解のなさという二重の苦しみがあるわけです。
 そういえば、「生理休暇」というものが存在することを知ったのは社会人になるずっと前だけど(しかも何かセクハラ的にネタにしてる本だったか漫画だったかで知ったんだよなー)、その当時から「こんなもん実際に取れるわけねーだろ」と思いましたし、今も思ってますね。だって男性の上司に、自分がいつ生理(月経)かって、告白するわけですよ?(つか日本って、いっつも、ベースができてないのにこういう「制度」だけは平等ぶって作るよね…)でも、言わないでどうしても休みたかったら普通の有休になっちゃうしねえ。そうしている女性は多いんじゃないでしょうか。まあ実際、ほっとんどの女性の場合は、会社を休むほどの重い月経ということはないんですが。でも重い人が、もしそういう制度を利用したい時は利用できるべきで、それに、休めるということは、その休みを使って病院にも行けるわけですし。
 ということで、この本で主張されているのは、おかしいと思ったらちゃんと病院に行きましょうということと、もっと、「たかが筋腫」ではなくオープンに話せるようになってほしいということ。まあ、後者にはまだまだ時間はかかりますが、自分の身は自分で守るしかないですからね。とりあえずやってみてもいいだろうことは、かかりつけの婦人科(女医ならなおよい)を持つことと、忙しさに流されず自分と常に向き合うことですかね。私も偶々近くに評判のいい、そして偶々運よくまあまあ評判通りの女医さんのクリニックがあったのでそこをかかりつけにしてます。(でもそういう先生ご自身は結婚・出産の時間がなかったというパターン…これもどうにかできないものでしょうかねえ)
 毎日新聞の著者インタビュー。
 http://mainichi.jp/area/tokyo/dialogue/news/20100428ddlk13040286000c.html
 結論として、著者は子宮そのものを切除します。それは、元々ご主人とは「子供は要らない」と決めてあったからでもあるし、子宮を温存しても、元々月経自体が重かったという理由もありました。ただもっとデリケートな部分は、描かれていないかもしれません。
 これに関しては、ご本人の決断ですから何とも言えませんが、結果論ですが、もし逆に「子供が欲しい」カップルであったなら、恐らく筋腫のために妊娠しにくいということもありえたでしょうから、早くに治療を始めて、筋腫を取るなり小さくするなりし、何ら問題なく妊娠・出産できた=子宮を残せたかもしれないなとも思います。(あと、出産すると月経痛も物凄く減るし)
 特に若い方は、がん云々でなくても、自分の身体にはホントによくよく注意を払ってほしいですね。若くして子宮をなくしたらどうします?著者も、死ななくたって、もし子供が欲しい人が子宮を失ったら、それは死ぬのと同じ苦しみではないか、と仰っているし、その通りだと思います。
 若くなくたって、子供を産みたい人も、大変なことになる前に病院へ。
 そうそう、もう1つひでえなあと思うのは、ホントに、この本にもご友人の意見として書いてあるように、男の医者ってのは年齢で子宮を取るか温存するか決めてますね。そもそも今回の治療を始めるきっかけというのは、たまたま年齢を考えて行ってみた検診で、「こりゃ取るしかないねー」と無造作に言い放たれたこと。うーん。もっと表現はないのかと。そりゃ若くなくったってさ!個人の事情なんか、その日会った医者にわかるわけないじゃん???まあそういう医者が近所だったのも悪い偶然ですが…
 私ももし検診ででっかい筋腫が見つかったら、無神経な医者なら「取ります?」とか言われそう。40近いしもう子供いるし。(今の所、出産の時に産道に出っ張りがあると言われ、「筋腫あるって言われたことあります〜?」とは訊かれたけど、元々月経には何の異常もなく、筋腫があるとしてもQOLに影響はないので、とりあえずがん検診はしてます…)
 昔はガンばかりでこういう、取る取らないの話がされていて、百歩譲って女性の病気が語られることがあっても、乳がんか子宮がんばかり。でも、筋腫だってほっとくと大変なことになるのです。著者も、もし最初の医者が経過観察が必要だと言ってくれていたら…と仰っているように、今は一応そういう方向になっているらしいのですが。
 最初の医者、そして評判のいい病院の医者も実際にはひどくて(「子宮のない女なんて誰が相手にする?」って…じゃあアンタは子宮があれば誰でもいいのか(笑)、子宮とセ〇〇スするのか(笑))、3人目の、実は近くにあった病院の女医さんに出会い、初めて価値観が合い、手術に至ります。多分、他の方、他の病気でも、似たような医者失敗経験はあるんじゃないでしょうか。私も妊娠中、最初の個人病院の医者がサイテーだったんで。人がマタ開いてる時に来てた偉い先生に、「先生もどうですか?」って(内診用のスコープを勧めたわけですね)…おいおい!俺 の マ タ だ よ !勝手に勧めんなよ!!!…というわけで、さっさと紹介状書いてもらって弟の出身大学の、いい病院に変えました。大正解。安かったし。でもその個人病院、大人気なんだよね〜。勝手にしなさいって感じ。だからホント、体験してみなきゃわからないです。相性の他に、ホントに著者や私のようにとんでもない言動に遭う場合もあるんで、評判も当てにならないですね〜。
 話がずれましたが。
 本やTVというものは、勿論、最も極端な例を採り上げるものです。この本も、巨大な子宮筋腫という、なったことのない人は一生耳にすることすらない話です。しかし、実際、同じケースで子宮を取った人というのは少なくはないんですね。それなのに、死ぬわけじゃないから話題にならない。でも、死ぬわけじゃなければ内臓1つなくしてもいいの、と。やっぱり、死なない死ぬだけで判断できる問題ではないですね。そしてとにかく、もう、QOLが下がりまくる。
 正直、最初の方に書いてあるのですが、「貧血」がこんなに怖ろしいものだとは思いませんでした!貧血ってもしかしてカッコイイとか思ってませんか?か弱いイメージがいいとか思ってませんか?とんでもねえ!倒れるだけじゃない、爪がもろくなり、裁縫をしていれば糸が、頭を洗っていれば髪が、爪にめり込む!!!!(T_T)怖いよ〜〜〜〜。ああ怖い。本当に、治療してよかったですね著者…
 あと、著者も、大きめのナプキンには「これでも対応できない場合は病院へ行くように」って書いておけばいいのに、と仰ってますが、私も賛成。「過多月経でお悩みの方に」という、大きめのナプキンのTVCFありますよねー、あれ見るたびに、「おいおい先に病院行けよ」って思います。「過多月経」は、「(あくまで通常の範囲内で)多め」という意味ではないんですよ。「通常とされる量を超える異常な月経」という意味の言葉です。ちゃんと商品にはそのことは告知してあるんだろうか?実際に私は店頭で商品を見たことはないんですが、商品に書いてあるとしても、CFでも「ちゃんと病院にも行きましょう」って言うべきじゃないの??実際に過多月経の人がこの商品だけ使って、何も原因を考えなかったら、むしろ危険ですよね。既に治療中の方が使うならいいのですが。
 何が「普通」なのかわかりにくいものではありますし、女性同士でもこういう話は、親子でさえむしろしませんね〜。せめて女性同士でぐらいは度々話題に出来る空気があればいいんですがねー。古くからの友人とも、出産の話はしますが余り生々しいことは言わないしなー。
 そういえば今年は、2年に1度の子宮がん無料検診の年じゃないんだよなあ。進行の遅いがんなので2年に1度でも手遅れで見つかることはないとされてはいるものの、最近では毎年受けた方がいいとか。初期がんというか、一番最初の段階からがんになることは稀だし、なるとしても何年もかかるのに、一旦がんになってしまうとその後の進行は早いんだそうです。なので2年に1度ではなく毎年受けて、前がんの状態で発見して経過観察なり治療することが重要とか…でも自費だと高いんだよなあ。2万円ぐらい。2年に1度のも、無料じゃない自治体もあるし。もし今年受けるんならついでに卵巣も見てもらうと、5,000円増しぐらいだよなあ…うーん…あとワクチン…何万もするしもう私の齢だと若い人ほどには効果が…うーん。まあ、子宮がんになる理由から考えると、私は非常に確率は低いはずなんですけどね。ちょっと予算を組まないとなあ…。来年あたりにでも、うちの区でもワクチンの助成が出るなんてラッキーなことがあったら、絶対受けます。
 とそんな風にまた色々思うところありました。とっつきやすい本ですし、結構ハマる絵柄です。あと、ご主人が西洋人なのですが、またこれがいい人で…。「ダーリンは外国人」であることはウリにしていないのも好感度大でした。
 結局注文しました漫画2冊。
 やはり、この絵に惹かれるのは皆さん同じですねー。こういう記事を読むと、届くのが待ちきれません!
 http://na-inet.jp/weblog/archives/000749.html
 
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