片付けと収納の本(1)飯田久恵『もう片づけで疲れない収納法』(集英社be文庫)

もう片づけで疲れない収納法 (集英社be文庫)
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集英社 2007-04-20
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 一番役に立った…正確に言えば、「これ最初に読んでりゃ、細かい本は要らんかったなー」と思ったのが、今回の本。
 先に色々小細工的な本を読んだんですよねー(笑)。そりゃ図書館で片っ端からリクエストしただけですからー。
 今の所のベストはこれです。
 文章がほとんどで、それこそハウツー本のような細かい図解もないですが、ガッカリしないで!よく読んで!文庫本だし!
 「もう片付けで疲れない」。いい言葉です。
 何故片付けで疲れるのかと言えば、「片付けたのにすぐ乱れて、また片付け…ウンザリ」だからではないでしょうか。
 その、「また乱れてウンザリ」がなくなります!もしくは相当減ります!
 この飯田さんの考え方の最大のポイントは、「片付けの5つのステップ」と「収納指数」。
 5つのステップをこの本を読んで、「ん?このやり方どこかで…」と思ったら。
 もう大分前になりますが、ETV「おしゃれ工房」の、台所の片付けの回。録画して何度も観てました。それがこの方だったんですね。片付けのステップ、メモに書いて今も台所に貼ってあります。その番組では台所だけでしたが、勿論この本では家中の話をしています。
 5つのステップというのは、「要るものと要らないものを分ける」から、「片付いた状態を保つ」までの5段階。詳しくは、本を読んで下さい(笑)。きちんとこの段階を踏むと、無駄がないです。
 「掃除」と「片付け」は勿論、「整理」と「整頓」、「より分け」と「片付け」も別物。
 結構、こういう「似たもの」をいっぺんにやって失敗すること、多いですよね〜。私もでした。
 前の記事に書いたような、配置・収納以前の、「物との付き合い方」も、この本には勿論書いてあります(実例も、身につまされます…)。「何をどう捨てるか」「スペースに合う分だけ持つ」…当たり前なんだけどなあ。どうして人は物にとりつかれてしまうのでしょう。
 要るものを要らないものをより分ける。より分けが終わったら捨てる。そして配置する。
 その「配置」に一番大事なのが、「収納指数」。
 これにも、凄く納得。
 この「指数」とは、物の出し入れにかかる「手順の数」。
 例えば、出しっぱなしや、棚に手を入れて出すだけなら、「1」、扉を開けて出すなら「2」…というように、きちんと、「出し入れしやすいしまい方」「めんどくさいしまい方」を意識すること。そして、その指数に、その物の使用頻度を合わせる。
 言われてみればな〜るほど、なんですが、実際には意外と、使用頻度としまい方って、合わせてないもんなんですよね〜。
 で、使用頻度の高いものが取り出しにくかったりすると、出しっぱなしにして、それが他に影響して、結局全部ぐちゃぐちゃに…
 私もこの基本と、あと他の本にも書いてある、「用途ごとにまとめる」「動線に合わせる」ということをやってみたら、その後の使いやすさが相当に変わりました。
 逆に、何で今までこんな風に入れてたの???と自分で自分を疑うことばかり(笑)。
 特に台所は、収納指数と動線をしっかり考えて虚心坦懐に!!並べ直してみたところ、結局、それまでの配置の7割ぐらいが、「これはここ」という単なる「思い込み」に基づいていたことがわかりました。
 具体的には、電子レンジと炊飯器の位置を左右入れ替えたり(以前は、電子レンジと炊飯器の位置が逆だったために、冷蔵庫から食品を出してチンする動線と、シンクで洗った飯茶碗を炊飯器の傍に置く動線が、見事にクロスしてました…ホントに何で8年も!!逆に置いてたの???)、洗い籠をシンクの右側から左側に移してみたり(右手で洗って左手で食器を持っているのに、どうしてその左手を右に持ってきて食器を置いてたの??)、調理器具の置き場所や収納方法を収納指数に従って厳密に変えたり。
 物入れやクロゼットの中も同様。
 本当に、人間って「思い込みの動物」なんだと実感しました…
 一度でいいので、是非、頭を空にして、本当に、自分の動き、動きのパターン、使用頻度だけを拠り所に、配置し直してみて下さい。
 「何となく」「そういうものだから」「形が合うから」では絶対にダメです。まあ、やってみて元の通りだったらそれはそれでいいんです。ただ、私自身は本当に、今までが間違いすぎ!(笑)
 素直にやってみると、ストレスが物凄く解消されます。
 思い込みというのは、「何か変」を、ストレスだとも感じさせないから怖いんですけどね。
 そして、正しく配置されていれば、二度と乱れない…はず。「保てる」整理収納こそ、最終目的なんですね。

 本当に、基本は簡単なことなんですけどね…
 そして飯田さんの意見にこれも賛成なのですが、収納とは、始める前の心の改革、しっかりした計画ですね。特にこの年末から最近にかけての、恐らく最後になる、最後にしたい片付け作業で痛感しました。 
 大変な作業なのは確かなので、決して、計画(時間、予算)なしで始めないで下さい。
 やるなら休暇を取ってでも、お金をかけてでも。収納家具を買えという意味ではありません。必要なものならきちんと入手する(私は既存品を利用したり、棚板の高さを変えるための角材をホームセンターで買ったり程度ですが)、或いは時には専門家にアウトソーシングするなど、困っているなら本気で取り組め!ということ。私は偶々、暇に任せてネットショッピングしていた頃も、収納家具だけは買わないで、その前に物を捨てるということだけはやってましたし、そんなに広い家でもなく、物は結構捨てられる方だったので、アウトソーシングまでは行きませんでしたが…
 そう、片付けや収納って、誰でもできることだと思ってるから、失敗しても、その原因を深くは問わない。これが一番の問題なんでしょうね。家を快適に保つって、最早スキルなんだなあと。なので、「家の片付けは業者に頼むな」と本に書いている人もいますが、これには賛成できません。専門家に相談するのも手だと思います。この飯田さんや、近藤典子さんなどは、そういう仕事をなさっている方です。
 何でもとっておけた・大事なものはむしろしまっておけた日本家屋から、核家族化という変化も、昨今の「収納の悩みの高まり」に影響している、というのも何かの本で読みました。そこに、物質的豊富さが頂点を迎えたのが重なったのも、今「片付け」「収納」が非常に多くの人を悩ませている原因でしょう。でも、だからこそ、悩みに重ねて「収納本ブーム」「収納テクニックブーム」に乗っかってしまうのではなく、基礎から固めれば、崩れにくい「片付いた家」が貴方を待っている…はず。
 斯く言う私も、まだ少しずつ手直ししながら、使いやすい家を目指しています。