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私説東京放浪記 (ちくま文庫)
私説東京放浪記 (ちくま文庫)小林 信彦

筑摩書房 1995-12
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star在りし日の東京

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 ほんとにねえ。いちいち頷いてしまいますよ。まったく、「田舎役人が東京を弄繰り回すのはやめてくれ」という著者の言葉には大いに賛成。
 感想は沢山あるのだがとりあえず1つだけ。
 そうか、新宿西口は「都庁前」と「都庁後」に、確かに私の中でも分けられるなぁ。
 魔界都市《新宿》は、絶対に「都庁のない頃」でなくてはいけない。小学生の頃、今の都庁の手前の歩道橋から見た景色(新宿西口公園など)はとてもよかった。中学生になり菊地秀行を読んだ時、素直に、西口公園はああで、区役所がメフィスト病院だと思えた。絶対に、今の、都庁が見通しをぶち壊す西口を持った新宿ではない。
 思えばもう、何年も西口には行っていない。最後に行ったのは何年前になるだろう、派遣会社の登録更新に行った時か。
 私が意地でも、1本で行ける新宿の都庁でパスポートは取らない(乗り換え1回、降りてからも日比谷から歩いて交通会館で取っている)のがそのせいなのかはわからない。ただ、都庁は私にとっては未だに都庁ではない。私にとっての都庁は二重橋前であり、千代田線の駅名アナウンスがえらく不明瞭だったことに、大人の乗る電車とはこういうものなのかと思った、中学生の時の思い出である。