ひとりでいいのvv〜とことん一匹狼を愛するあなたに〜

 警察という組織に属し、すぐれた能力を持ちながら、性格的な問題でいつも孤高、そんな母性本能をくすぐる?男も惚れる?方々をチョイス。
 私の中の「三大一匹狼」です。
 どこかほっとけなくて、敵にも味方にも恵まれた方々(笑)山本五十六(だっけ)も言ってますが、誰にでも好かれるヤツにろくなヤツもいないってことで。
 イアン・ランキン:ジョン・リーバスシリーズ
 スコットランドの一匹狼、最新作で50代後半。いくつになっても毒舌も単独行動も健在。バツイチ、娘は既に成人。
 過去をほとんど語らない。第14作でやっと、陸軍退役後は職がなく警察に入ったことが明かされる。トラウマを抱えているらしい。
 かなり狷介で自ら誤解を招くほど頑固なため、上司や同僚との衝突も絶えない。何かというと停職。だが読者にとってはこの、孤高を貫いたが故の胸のすく活躍がたまらない。必要ならば敵でさえ利用する老獪さもお見事としか言いようがない。
 これまでにも間歇的に恋人はいたが、自分の中に踏み込ませないため長続きしなかった。30歳前後と思われる有能な腹心の部下、シボーン・クラークとの関係は今後どうなるのか楽しみ。
 現地英国では現在15作。日本では7〜14作の計8作に、短編集『貧者の晩餐会』(リーバス警部ものもあり、ポケミス)が訳されている。
 早川書房から。

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 マイクル・コナリー:ハリー・ボッシュシリーズ 
 本名ヒエロニムス・ボッシュ。あのあまりに有名な画家と同名。娼婦であった母が殺されるという凄惨な体験を持つ。この母が、「この街は追う者と追われる者で成り立っている」と彼にこの名をつけた。
 シリーズは、この母殺害の犯人追跡や、彼の父親探しの一面ももつ。この人も典型的なトラウマ君。
 第1作で出会った女性警官と恋に落ちるが、彼女の過去や彼自身の性格などから、関係は波乱だらけ。
 あまりにも見事な一匹狼、孤高としか言いようのない性格。そのため市警の殺人課所属というエリートコースを外れ、職場も転々としている上に、常に退職の危機。事件が解決するまでは本当にもう神経に悪いような展開。でもかっこいい。
 『わが心臓の痛み』で登場したFBI心理捜査官ものの『夜より暗き闇』(講談社文庫。表紙がボッシュの絵!)にもゲスト出演。これを含めれば邦訳は現在8作品。(『わが心臓の痛み』も傑作。)
 最初は扶桑社ミステリーだったが(1作を除いて全て上下巻)、最新作にして最高傑作『シティ・オブ・ボーンズ』から早川書房に移籍。今後もかな。この最新作が非常にいいところで終わっているので、次回作が異様に気になる。
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 デヴィッド・ウィルツ:ジョン・ベッカーシリーズ
 FBI特殊捜査官。ベトナム戦争では”ネズミ”と呼ばれたトンネル兵。やっぱりトラウマあり。(アメリカにとってベトナムというのはトラウマそのものなのだろう。小説の主人公、探偵などにもこのパターンは非常に多い。)
 その姓からドイツ系と推定されている。長身、ゲルマン民族らしい容姿。
 「犯人と思考を共有できる」という特殊能力がある。だが何故かいつもその犯人を殺害してしまうはめになる、という不運の持ち主。それ故に関係者からも疎まれる。やめたいと言っても「医者のカウンセリングを受けながら不定期でもいいから」と引き止められてしまうほど、犯人特定は正確。
 恋人(兼上司)はいるが、こちらも彼女がある事件に巻き込まれてからかなり波乱含み。息子が一人。浮気もあり。おいおい。
 現在第6作まで邦訳あり。
 こちらも扶桑社ミステリーから。
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 あとは、こちらは本格の、レジナルド・ヒルのダルジール警部(つかこの人はフロスト警部と張り合う下品さ(笑))シリーズや、同じく本格、ピーター・ラヴゼイのダイヤモンド警視なんかもかなり周囲とぶつかりまくる人ですね。あと、島田荘司の吉敷竹史。この人なんかももう読んでいて胃が痛くなりそう。
 探偵ならばともかく、こういう組織の中にいて悶着起こしすぎな人ってのは、探偵の大変さとはまた違って、読んでて辛いことは辛い。でも、かっこいい。本当に何でこんな人が警察にいるんだと思いますけどね。それが小説ってものの面白さなのでしょう。
 普通にみんなとうまくやっていける警官が主人公なら多くは「警察小説」になるのかも。鮎川哲也の鬼貫警部とか。
 さて、こういう人ばーっかり読んでいると、同じ警察官でも周囲と軋轢を起こさないタイプの名刑事を読んでいる時心底ほっとするわけで(笑)
 ごくごく普通に軋轢もなく、探偵としての刑事を楽しめるのは、前述の日本代表・鬼貫警部をはじめ、P.D.ジェイムズの詩人警官ダルグリッシュ警視長とか、ルース・レンデルのウェクスフォード警部とか、デボラ・クロンビーの、いやらしいまでのエリート、キンケイド警視とか。優等生は、気楽に物語を追いたい人にオススメです。
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