魂の男!〜イアン・ランキン、延原泰子訳『血に問えば』(早川書房)

血に問えば (ハヤカワ・ノヴェルズ)
血に問えば (ハヤカワ・ノヴェルズ)イアン ランキン Ian Rankin

早川書房 2004-10
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 この作家に関しては、くだくだしく説明する必要もないでしょうが、一応。
 スコットランドのジョン・リーバス警部シリーズの前作『甦る男』でMWA賞、通称エドガー賞を受賞。国内では日本の作家がノミネートされたということだけで珍しく話題になった回で、このあたりは既に書きました。この『血に問えば』は受賞後第1作、シリーズ第14作。昨年ロンドンの書店で大々的に宣伝されているのを見て切歯扼腕した作品。現地英国では既に15作まで出ています。英国ミステリの売上の実に10分の1を占める化け物作家。
 受賞のお蔭か、これまでのポケットミステリから単行本に格上げされました(笑)今年10月の刊行です。これも受賞の効果か、前作から1年ちょいでの刊行です。リクエストして待ってたんです(笑)
 ランキンは既にシリーズ第8作『黒と青』でEWA賞(英国推理作家協会賞)を受賞しており、これでミステリ最高峰の二大賞を獲得、押しも押されぬ地位を築いたと言えます。
 リーバス警部シリーズはランキン作品のほとんどを占めています。しかし今のところ、邦訳というのはどうしても受賞作品からになってしまうので、第8作が最初に訳され、遡って第7作が出ました。1〜6作と続刊も逐次邦訳されるそうですが、一体何年かかることやら。
 この警部は、50代後半と、若いわけでもなく、美形だとか書いてあるわけでもなく、オマケに超一匹狼、非合法すれすれの手段も辞さないあぶない系。本のあおり文句にもある通り、正しく「魂の男」。何せ前作ではとうとう警官の矯正施設に送られ、そこで事件を解決することになるぐらい。しかも本作ではもっと大変なことに。