金は美に使え〜加藤徹『西太后』(やわらか編4)
あああ〜〜。
このテの連載?で途中で休むと絶対に未完になりますんで、ここは無理矢理にでもUP。相変わらずゴミに埋もれた高野です。
しかもこういう記事だったら自前写真バンバン載せないとわけわかんないのですが、
高野「ねー、フィルムスキャンしたらどれぐらい時間かかる?」
相方「えんえんとかかる。」
高野「じゃやんない。」
どうもすみません。いずれは保存のためにやろうと思うのですが。
ええと…前の記事同様、本の内容を知りたい方は、ひとつふたつみっつ前の記事を(以下略)
さて。
こういう精神が貧乏な奴が、噂の、西太后の離宮・頤和園(いわえん)にも行ったわけです。
名前からわかる通り、西太后がまさしく晩年を悠々自適に楽しもうと考えていた場所でした。
もともとは乾隆帝が母后(西太后が彼女を目標に晩年を計画した人ですね)のために作った豪壮な離宮でした。しかし、英仏連合軍の攻撃で跡形もなくなってしまった離宮・円明園(ヴェルサイユ様式!)同様、破壊され、これを息子同治帝も母のために修築しようとしましたが、様々な理由で果たせずにいました。やっと実現できそうになった時には日清戦争が迫っていて、このため、修築費用は西太后の悪事の代表として、海軍費からの流用でも最大にものとされることになってしまいました。ここで盛大に行なわれるはずだった「六旬万寿聖典」も、戦争が始まった直後で結局小規模になってしまったのは、彼女にとっては痛恨事だったでしょう。
紫禁城とならんで、世界遺産です。ちなみに、西太后の夫が生前に入り浸って現実逃避しまくった避暑地・熱河山荘(といっても広大な離宮)も世界遺産です。
頤和園も、その広さといったら…あ、写真がない。昔はデジカメじゃ(以下同文)。
でかい。
きれい。
海軍費流用上等。
戦争になんか負けてもいいから(コラコラ)人類のためにはこれが残った方がグッジョブ!です。
本の紹介で述べたように、まあ、他の流用だっておんなじぐらいやってますしね。ってことで。
戦闘機買うなら寄付しろ!あ、違った(笑)
で。
ここは、とにかくきれい。
万寿山を背に、沢山の美しい建物と、広大な昆明湖を眺めるのは、正に至福の時でした。お天気も上々だったし。
春夏秋冬、朝も昼も夜も、晴れでも雨でも曇りでも星でも月でも、絶対にきれいだと思える、完璧な美。
建物は、政務の時に用いる、玉座のあるものなどが一部と、万寿山には西太后が心の拠り所にした仏閣などが聳えています。この世の仙境といった趣です。
頭上の格子に極彩色で物語の場面を描いた長廊や、湖にかかる、横から見ると17個の孔のあいた十七孔橋などが有名。
ああ、この湖に月がかかったら、あるいは霧雨が降ったら、それも素晴らしいだろうなぁ…。
敷地内には、宮廷料理を食べられるレストランもありますが、勿論高いので庶民はよりつけません。熟年旅行などではここでのお食事も入ったコースがよろしいでしょう。
「スケートすんな」の看板の傍で、子供が凍った湖面(2月なのでずーっと凍ってた)でスケートしてました(笑)
この昆明湖、確かにでかいけど、「海軍の訓練」(流用の言い訳として挙げられたもの)は無理だろ…
ま、確かに、中国の湖って海戦できちゃうぐらいでかいけどね(実例あり)。でもここのは、あくまで人工湖だって!!(笑)
これ、論文書きながら史料(上奏文)見て笑いました。李鴻章とかがどんな顔してこんな恥ずかしいこと書いてたんだろうと。で、その上奏文を、わかっていて西太后もわざと難しい顔して受け取ったりなんかしてたんでしょう。
女性はイベントの動物であります。
卒論、修論を書きつつ、西太后が自分の還暦大祝賀行事があるので戦争には消極的であった、というあたりで、
「当たり前じゃん。」
と思いました。
何で男性の研究者が批難するのか全然わかんなーいv自分のお誕生日を盛大に祝うのに、どこがいけないの♪(大マジ)
まったく、男には、女心がわかんないんだからv
まあそんな気持ちもあって、現地では、この頤和園の存在を誇りに思う方が、日清戦争での敗北に固執するよりはるかにいいんじゃないの中国のお人、と思ったわけです。
国が滅びちゃったらお祝いも何もありませんが、彼女は別に国のために政治がしたいんではないので(政治家なのに(笑))、そんなこたどーでもいいんです。
西太后と日清戦争について語るには、彼女が優れた政治家であったか愛国者であったかという問題は切り離してみないといかんです。誕生日パーチーをやりたいったらやりたいんです。そのことを、今回の『西太后』はあらためて示しています。
一応旅行は修論の取材を兼ねているとか称していたわけですが(笑)現地見たぐらいで論文書けりゃあ世話はない。しかも現地見てこんな結論では、出来上がったものも推して知るべしであります。ちなみに、旅行代金は、3泊4日、往復全日空+新しい高級ホテル+移動付き全食事つき添乗員つき観光つきで、66,000円!!!(安い修論だな(笑))
生活を楽しみたい人、女性なら特にそうですが、それが人の上に立つことは男性には生理的に受け付けないのかもしれません。
でも、「生活を楽しむ」って大事ですよ。
男から見れば「何でこんなことにお金かけんの?」と思うかもしれませんが、周りを御覧なさい、世の文化は女性が作っている。(結果的に長続きしないと、「女子供の文化」と言われるけど、それは男も同じ)
西太后だって、女性性の赴くままに激動の時代に中国を統治してしまった。
…すいません。こないだ、税別9,000円のお風呂椅子買っちゃいました。だってステキだったんだもん。(ち、小せえ!自分!)
西太后が愛した離宮なので、彼女の普段の愛用品も展示されていました。
これがねー、なんかかわいいもん一杯持ってんのよ、この人(笑)
見ながら、「キャー」「カワイー」の連発(女子高校生かい)。
手鏡とか。白粉とか。
実際、彼女が特に好んだ贈り物は、外国製の化粧品や、からくり時計だったそうで、まさにここの展示品は彼女の趣味の世界です。
この、かわいいものを見た時が、私が、この人は普通の女性とそうかけ離れた考え方をする人ではないな、と思った瞬間です。
モノを見るとその人がわかりますよね。特に、女性の興味の範囲って、誰でもそう変わるもんじゃないなーと痛感しました。
個人的にも、男に伍して突っ張る女性が好きではないし、まさに「小さな世界」を愛する人だとわかって妙にほっとしましたね。
そういえば、初の海外旅行であるこの時、成田空港の免税店で、女性からのものと思しきメモを一生懸命読み上げて化粧品を買っている青年を見ました。彼女にでも頼まれたのかな〜。
ちなみにこの頤和園は北京の北の郊外(中心部から車で1時間ぐらい)にありますので、近くにあるいくつかの観光地とセットになることが多いようです。
私も、同じ日、先に万里の長城の観光スポット八達嶺(狼煙台が有名な、よく写真に出てくるとこです)に行きました。気温はガイドさんによればマイナス20度!とのことでしたが、全然そうは感じなかった代わりに、当然のごとく男坂を登らされ、後で女坂があることを知った!!!のがヤラレタでした。
頤和園について。何と案内役は西太后の弟の曾孫という葉赫那拉(エホナラ)・根正さん。
http://www.yomiuri.co.jp/tabi/world/abroad/20050412sc22.htm
TBS「世界遺産」サイト。
http://www.tbs.co.jp/heritage/archive/20040808/onair.html
こっちの方が写真がいっぱい。
http://www.nicchu.com/beijing/kanko/k04.html
http://www.hbs.ne.jp/home/m-hiyama/newpage9.htm