カブたん、シェフになる

 関連して。
 カブたん*1こと松尾敏伸君が、昨夜で終了した(全3回)NHK土曜ドラマ「人生はフルコース」で準主役。
 帝国ホテルのムッシュ村上信夫シェフをモデルに*2、彼の若き日と、松尾君演じる現代の33歳(ちと無理が…)のシェフの迷いを絡めて描いたもの。松尾君が出ているということで観たのだが、以前ブログにも書いた通り村上シェフのファンでもあったのでちゃんと3回観た。
 戦後日本の料理啓蒙史が詰まっていると言っても過言ではない村上氏の半生を、たった3回では勿体ないと思う一方、非常にNHK的な「いい人」「サクセスストーリー」に徹しており、それ以外のキャラクターも「いい話」オンパレードなので、短い分ボロは出なかったとも言える。
 ドラマの基になったエピソード(っつか料理の話は実話)についてや、彼の功罪(彼自身が悪いのではなく、受け取り方の問題、つまり「料理界」の現状の問題点についてだが)やら何やらを含め真面目に論評すると4時間ほどかかりそうなのでやめる。(最近ブログにはまとまったものを載せているのだが、あれは1時間まず書いてそれを2時間3時間いじり倒してもあんなもんなのだ…)
 松尾君の演技は全く問題なし。そして相変わらずお美しい。こういう人には顔、せめて鼻にだけでも保険をかけてほしい。こういうキレイな子の母親ってのは一体どんな顔してるんだろう(笑)
 晩年の村上氏そっくりの特殊メイク(高嶋政伸である)は見事。村上氏の顔と名前が繋がらない相方も、「メイクって凄いねえ。”ああ、あの人か”ってわかったもん」とのこと。
 でも、だったら同じレベルのメイクで戦争&シベリア帰りのシーンはゲッソゲソにすればよかったのに。あんなにぷくぷく(地のまんま)してちゃ実感なさすぎ。もう、あれじゃおかしいと思う人がNHKにもいないんだろうな。本物の抑留帰りの人は怒らんだろうか。
 あと、松尾君、仕事辞めるのに、「辞表」はないでしょ、「辞表」は。「退職願」です。自分から辞めるのは、あくまでも会社に「退職を願い出る」ことなので、封筒の表には必ずこう書きます(書いたことある(笑))。社会人の常識です。こういうのも、仮に脚本にそう書いてあったりしても、スタッフが誰も直さないんだろうか。書く時まで知らなくたって、実際「辞表」を書く時には形式と中身の書き方ぐらい調べるだろうから、普通に社会人やってる人間が本当に封筒に「辞表」って書いて出すことはありえません。もし書いたら、上司には「君はこの会社を辞める以前に、入ったことが間違っていたね」って言われますね。
 ああ、何か、最近のTV局のスタッフの常識を疑うよ…
 内容に戻ると…松尾君の恋人役。男の一生のキャリアを棒に振らせるほどの女とは思えないし、後でどうせ「あん時フランスについて行くって言えばよかった!」とか絶対愚痴るな(笑)
 ちなみに、みどりちゃん*3こと梅宮万紗子嬢が、お姑さんにいじめられている昭和30年代の主婦役で登場。うーん。映画版の「美人なのに汚れ」といい、どうしてこんなに、地味目or虐げられ系が似合うんだ!(笑)牧村(村上氏)出演の「きょうの料理」を見て初めて「洋食」を作り、その美味しさをきっかけにお姑さんと打ち解け、感謝のファンレターを出す、というエピソードでした。
 ともあれムッシュファン、松尾君ファンは必見。NHKのことだからきっとしつこく再放送を繰り返すと思うので、見逃してしまった方は要チェック。
 元ネタはこの本にあり。
 村上信夫メニュー帝国ホテルスペシャル

*1:仮面ライダー歌舞鬼。「カブたん」は(c)SGA851氏。

*2:というか、人名や固有名詞を変えただけのノンフィクション。EDクレジットには「原作」とあるので、伝記小説かモデル小説でもあるのかはわからないが。

*3:「仮面○イダー○鬼」滝沢みどり役。