舌鼓:花ぶさ

t_masamune2006-08-11

 神田の「花ぶさ」に行ってきました。あの、池波正太郎のエッセイでおなじみの。
 http://r.gnavi.co.jp/hanabusa/
 想像していたような高級っぽい「料亭」みたいなお店ではなく(いやホント、池波正太郎が書かなかったら、これほど全国区になっていただろうか?)、むしろ小さくて、結構古びた感じのお店(上記サイトの写真だと明るいですが、実際はもうちょっと照明は控えめ)。でもよーく見ると、要の部分の柱が凄く太かったりして、昔のいい建築だと思います。一歩入ると、周囲の、品がなくなる一方の外神田(すぐ秋葉原)とは別世界になっておりました。(外観の「別世界度」では何処だって「駒形どぜう」本店には負ける(笑))
 落ち着いたお店ですね。これは確かに、執筆に疲れてぶらりと出て、邪魔をされずに飲んで食べて帰る感じ。早い時間、しかもお盆の入口ということもありますが、混んではいませんでした。一応予約して行ったら(2人だとカウンター)、偶々相方が座ったのがカウンターの左端=「池波正太郎指定席」でした(『あぶさん』のあぶさんも「大虎」のカウンターの同じ席(笑))。
 ・どっちかというと、居酒屋である(カウンターが主。3人以上で2階のお座敷)
 ・場所柄か、元々か、材料費か、ちとお高め(上記ぐるなび参照)。
 ・美味しい。
この、最後の部分だけでいいんです。最近は店構えだの何だの、あと逆に「古びてるからいい」とかいう変な話もありますが、それも気に入らない。やっぱり単純なことでいいんです。「美味しい」これだけで。
 別に器に凝っているわけでもないし(むしろかなり年季入ってる…)、ものすごい食材のびっくりするような取り合わせじゃないけど、一つ一つの技術が確実で、美味しい。
 高いといっても、本日頂いたコース「千代田膳」は、昔から「5,000円」を変えていないので有名。
 お通しの「錦糸瓜」(繊切りの瓜と同じく超細切りの油揚げ、蟹肉を薄味で煮て冷やしたもの)からして、「切り方」がまず味の大きな要素を占めるんだなーということも実感。そういえば辰巳浜子さんも、娘の芳子さんに一番厳しく言ったのも切り方だったそうです。
 以下、
 お造り(鯛、トロ、雲丹、白海老、穂紫蘇、ツマは大根)
 鱧寿司
 お吸い物(すっぽんの玉子豆腐、冬瓜、芽葱)
 松花弁当(茄子の鰊の煮物(冷製)、まながつおの西京漬焼、鱧と胡瓜と茗荷の酢の物、生芝海老揚しんじょう)
 蒸し物(出汁巻玉子)
 お食事(茶福豆ご飯、香の物)※赤だし椀(鱧)
 甘味(氷白玉ぜんざい)
でした。
 お造り全部美味しかったな〜。
 酢の物の胡瓜の切り方、三杯酢の出汁の味もよかったし。茗荷は繊切りにして水にさらしたものがご飯にも乗っかっていました。
 海老揚しんじょうがまた(^m^)海老の「粒」が生きててね〜。
 出汁巻玉子は1人2切れ、これが一番カロリーあったかも。出汁ジュワ〜。すっぽんのお椀もそうでしたが、卵の味と出汁の味両方が効いてるんですよね〜。
 香の物は大根べったら漬け、赤蕪、胡瓜、昆布、白菜。ちょっとお醤油がかかってます。香の物一鉢でご飯をバクバク食べるというのが結局私の一番のロマン(笑)まあご飯はお上品な量ですが(笑)但しここでの赤だしはオプション。
 ぜんざいはこの時期、つぶあんの上にかき氷、そこに白玉1つの夏バージョン。
 …庖丁研ごう、と思いましたね(笑)いや、うちのも、庖丁のセットについていた研ぎ器では研いでるんですが、やらないよりはまし、という程度。丁度、先日相方の実家でカレーを作っていて、庖丁が凄く良く切れて楽だったので、ちゃんと砥石を買おう!と思っていたところだったのです。
 オプションの赤だしとビール(恵比寿。久々の「本物のビール」に感動(T_T))を含め、14,700円。
 あと、お店の中に「お品書き」はなく、見たところ、お客さんにもメニュー表は渡されていなかったです。う〜ん、ちょっと怖い(笑)
 入口の近くに、池波正太郎直筆の風景画。
 あと、一応上記のように「ぐるなび」にも載っているわけで(これ、最近このサイトを作った人の本も出てるけど、本当に、載ってる店はピンキリ。情報を信じていいかわからない)、本当に小さいお店なんで、混んでる時なんかどうなるんでしょうね。まあ、「ぐるなびに載っちゃったけど美味しい」という珍しいお店ではあります(ちなみに、クーポンはありません)。
 また機会があったら行きたいです。会社からは1本で「湯島」、または銀座線「末広町」からそれぞれ2、3分。帰りは別の駅まで秋葉原を抜けて15分ほど歩いてまた1本。母も行きたいと行っていたので、今度は何人かでお座敷かな。