国名シリーズ再読

 持っている本を読もうキャンペーン! 
 ブラウン神父5冊が終わり、やっとエラリー・クイーン作品へ。
 クイーン作品は、図書館で借りて読んだ後、気に入ったものだけをいくつか買った。できるだけ古書で、しかも、印象に残る作品でなくても、旧版の創元推理文庫真鍋博表紙を見つけたらゲット。
 国名シリーズ数冊の他は、後期作品がそれより少し多いぐらい。
 で、国名シリーズ。
 …長いねえ(笑)
 文字がちっちゃい(これは旧版も新版も同じ)、かつ、そこそこの厚さだから、ホントに時間かかる。
 しかも、文章がまた複雑だし訳し方も古めかしい〜(笑)
 元の文章自体が、台詞が昼ドラみたい(笑)で、おうむ返しの会話も多い。
 訳は訳で、原文のクセなのか時代なのか、「おお、ナントカカントカ」「あなたはこれまでお会いした中で一番ナンタラですわ」とか、「まあ、あたくしは、昨夜は取り乱しておりましたの」とか、これまた、昼ドラかまさしく2時間サスペンス!(笑)
 かなりイライラしましたね(^^;)
 …「推理小説」っていうとみんな想像するのは、やっぱこういう由緒あるスタイルではないかと、納得。
 「また書き下ろし頼むよ、好きに書いて」「合点だ」という時代だったからか(いや多分違う)、長さ気にしてなくて、情景描写も長いからな〜。でも、これが楽しめる人が、全体を愉しみきれるってことかな。多少過剰な表現、無用なまでにドラマチックな表現も、そういうもんだと思えば(笑)ま、結果論ですが。
 でも、この訳のエラリーの喋り方が、やっぱりエラリーとか、名探偵のイメージなんだろうな。また翻訳の話になるけれど、訳はこのまま(井上勇。早川文庫は青田勝)でいいんじゃないだろうか。持って回った、オーバーな、必要以上に凝った、もったいぶった表現も、この時代のミステリのうち。…それにしても体力要るな。
 最初に、先日『スペイン岬の謎』を数日かかって読んだ。
 何となく憶えていたのは、後半の、少しずつ謎が解け始めてからのいくつかの要素だが、登場人物のことはすっかり忘れていた。犯人も忘れていたので楽しく読めた。しかし…長いねえ。こういうもんだと思ってなかったら「推理小説ってめんどくさい」「くだらない」と思う人の気持ちもわかる。キャラの台詞も行動もくっさ〜。
 あと、乱歩絶賛の『赤毛のレドメイン』が現代の火サススノッブ頭で読むといきなり犯人のトリックがわかっちゃうのと同様、あんましマジ読みすると途中で犯人はわかる。(『オランダ靴』と『アメリカ銃』もそう)
 ちなみにこれが真鍋表紙。
 昨日と今日で『シャム双子の謎』。
 シャム双子が出てくることと、火事で閉じ込められてしまうことあたりは憶えていて、犯人は憶えていなかった。
 これも長い!
 解説で中島河太郎氏が、一つの手がかりにこだわりすぎている、と書いている通り、ワンアイデアならぬワン手がかり。でも、確かにこのワン手がかりに二重三重の意味を持たせて、全てが最後に明かされてみれば面白い。但し、この「最後に」が問題で、逆に、謎解きが最後になるように途中の全部を最後まで引っ張る、という意味で長い話(笑)「探偵より先に犯人を知った人が、その名前を言う寸前に気絶、のち死亡」とか(笑)もう古式ゆかしいパターンで、これでもかと最後まで明かさない。探偵が最初に失敗してなきゃこんなに長くなる話じゃない…と言える。最初の勘違いが次の、更に大きな勘違いを生んで、この長さ。
 それでも何とか斜め読みしないで済むのは、この作品の場合、これまた「山火事で山中の屋敷に閉じ込められる」というありえないシチュエーションで、情景描写の量に一応必然性があり、火が迫ってきて命自体が元々危ない、という設定のため。だから、単純に「もっと縮めろ」とも言えない。
 それにしたって探偵迷いすぎ、父警視失敗しすぎ(笑)本当にここまで失敗し続ける必要があるのだろうか?「犯人以外の人を探偵が最も多く苦しめる作品」かも?(最近では失敗しないと解決できないパターンのモース警部とかもいるけど)
 ちなみにこの作品、本格ミステリ界ほぼ唯一?元祖?の「探偵の全裸シーン」がある。別にそういうシーンではなく(笑)火事が迫る屋敷から山の下に降りる道がないか手分けして探して戻り、スッパになって引っかき傷だらけの身体の手当をした後、ベッドにノビてる…のですが、何も、裸のままでなくたって(汗)正直言いましょう。この場面を読んだ時、「作者、ホモか?」と思いました。ハイ。だって必然性ないんだもん。しかもそこに父ちゃん帰ってくるし(笑)私だったら親子でもイヤン。
 ところでこの『シャム』、新版で普通に買えるものなのに、元値「580円」に対し、何故ブックオフで「600円」の値段がついていたんだろうか??買った時気づかなかったのがまずかったが、ミスのような気がするんで、今度一応ねじこんでみようかしら。
 明日は、『チャイナ橙の謎』を読み始める予定。
 ちなみに、後期作品は、エラリーが悩んだり泣いたりする作品を持ってます。『十日間の不思議』、『九尾の猫』(これ、途中で犯人がわかってしまった)、『緋文字』、『最後の一撃』など。エラリーぐらいでないと、悩むこともないような。やたら探偵悩ませりゃいいってもんじゃないです。