MOA美術館

t_masamune2006-08-25

 熱海で行った美術館というのがここ。
 http://www.moaart.or.jp/japanese/top.html
 展示品が凄いというのはかねてから色々な人の本で読んではいたのですが、通りかかりでもしないとわざわざそのためだけには…という場所。で、今回は、宿に入るまでに時間つぶしをする必要があり、どうせ通るのだからとこの機を逃さず。
 相方は昔遠足で来たそうです。その時は駅からえんえんと上り坂を歩いたそうですが、今回は、割と本数もあるのでバス。5分ぐらいで着いてしまいます。
 熱海の駅前をほとんど真下に見下ろすような急激な高台にあり、本当は晴れていれば初島も見えるそうなんですが、今日は曇ってました。(写真は後日fotolife
 常設展示を見ておこうという他、今回は企画展示も面白そうだったのが一番のきっかけ。
 「美しさへの挑戦―ヘアモード・メイクアップの300年―」。
 
 (展示品の多くは、上記の公式サイトで見られます)
 昨年の日光でも、輪王寺宝物殿にあった徳川の姫君の化粧道具が楽しかったし、元々美しい道具を見るのは大好き。今回の展示では、日本の化粧の歴史(現在に繋がる基礎ができた江戸時代から)と髪型の変遷、そして西洋の同じものが並べて展示されていました。
 いや〜。
 自分では化粧品も使わないし髪形も気にかけない、つまり、全体に「ぞんざい」としか言いようのない恰好をしている私ですが、こういうものを見るのは楽しいんですよねえ(^^)しかし、このあくまで「見るのが楽しい」という性分のため、お店できれいなおねえちゃんから化粧品を買えない代わりに、通販で可愛い化粧品を買い込むだけ買い込んで使わない、という困った癖もある。使ってないファンデにパウダーに化粧水に美容液にクリーム…CoQ10のクリームだって母にもらったのに使ってない。
 まそんなことはともかく、いやー、実に、化粧品ってのはきれいで楽しいですね。特に女性は、実用性の他に「きれい」「かわいい」でないと買いませんからね。
 洋モノで「へえ〜」だったのは、コンパクトがタバコ入れを兼ねていること。確かに、外国の映画や小説では、女性が普通にタバコ吸ってますね(但し、私自身は女性がタバコを吸うのは好きではないし、見るのも嫌い)。日本はむしろ江戸時代の方が現代より女性も吸っていたようで、展示には、漆に蒔絵の紙巻タバコ入れ(だから新しい時代のものですが)がありました。
 で、このコンパクトというのが凄く多機能で、白粉、頬紅の他にミニサイズの棒紅(ホントに私の小指ぐらい!)も1つのケースに収まっている。ということは、「化粧ポーチ」という発想は余りなかったのかな。バッグも小さかっただろうし。今では、女性のバッグの中で一番場所を食ってるのがこのポーチなんでしょうが。
 日本でも大正時代以後女性の社会進出が進み、こうしたコンパクトが誕生した…というわけですが、そうか〜、「持ち歩く」ことが前提の化粧用具って、確かに大正以後かもな〜。
 あと、女性のポーチともいえる「箱迫(はこせこ)」もありました。これは女性なら七五三の着物セットに欠かせないものなので、懐に突っ込んで写真を撮ったと思いますが(笑)、展示には懐紙入れとありましたが、もっと綿っぽいものを入れるもので(爆)、女性が懐紙を使うということは… …という(あくまで、私が読んだ本でですが)…。まつまり、オトナのたしなみってことですね(つーより、不可欠)。私が先日読んだ何かの本では、別の説もありまして、こちらはもっとオトナなので秘密(笑)でも、これを7歳でですか〜。まあ、7歳というのは「死んでも神様の思し召し」と思われる時期を過ぎ、人間として生き始めるという意味もあるし、髪上げ前の通過儀礼でもあるし、既にこの時点で「女」扱いなんですね。男女七歳にして席を同じゅうせずなんてことも言いますし、江戸期の都市部なら10代で嫁入りしますしね(農村部では働き手が必要なため、実はもっとずっと遅かった)。こんな年でそう言われても嬉しくないし、今となってみれば七五三で拒否したかった気もしますが(笑)だってコレって、これを使う年齢になったって、襟元から見せて持ちたくないぞ!? 
 かつての、「持ち歩かない」化粧道具一式ってのも凄かったですね〜。
 思えば、かつて「女性の嫁入り道具」と言えば、ドレッサーと箪笥でしたね〜。うちの母も、ドレッサーと、桐箪笥に一杯の着物を持って来ました。
 今も、「婚礼家具」のコーナーにはドレッサーも箪笥もベッドもありますけど、今後もあるのかしら…
 かくいう私は、ドレッサーも箪笥も持ってきませんでした。箪笥は、新居にクロゼットが2つついているから不要。ドレッサーは、元々独身時代から使ったことがなく(そりゃ、落ち着いて化粧なんかしないで、スッピンで出かけてますから。数ヶ月に1回の、仕事以外のお出かけでちょっとは修整するぐらいで)、買うという発想自体かなかった(笑)ただ、洗面台に椅子は欲しいなと思いますけど。高めの椅子があれば座って塗り塗りできるなあと。今日、東西の凄い量の化粧道具とか細かいものとか立派な箱などを見ていて、ちょっと淋しくなったり。でも、化粧に水は不可欠(だって手が汚れるもん)なので、ドレッサーと分けたり(当然、使うものの置き場も分散)するとめんどくさいから、いいや。
 まあ髪型の変遷は、見ればわかるということで。
 ちなみに、ポスターにも出ているウージェニー皇后御用達の香水商はゲランだったそうで、このゲラン、今は佐伯チズさんの本でも有名な(お高い)化粧品メーカーですが、元々は香水屋さんだったんですね。鹿島茂さんの本にも、草創期のこの会社が、ある有能な出版プロデューサーの依頼で、「香りつき雑誌」の発行に香水を提供したとありました。
 常設展示の方は、一番の売りである尾形光琳の屏風は、2月のみの公開なので見られませんでしたが、秀吉の黄金の茶室は見られました。…あんな落ち着かない部屋でお茶は飲みたくないと思いました。
 あとは、仁清の国宝の壷と、モネの睡蓮など2点、レンブラント真筆の自画像。
 焼き物、仏像、日本の絵画、ちょっとずつ。
 というところでした。
 出口近くのお庭には、モネの庭から分けてもらった睡蓮が。
 写真は、その手前の、ヘンリー・ムーアの作品とドラちゃん。