まだ読んでなかったシロモノ―ruby版シャーロック・ホームズ

 ぎじゅつけいのざっしをよんでのうみそがふりいずしてしまったので、やっぱりぶんけいのほんにすることにした。
 ×××
 突然ですが、私はシャーロック・ホームズ・マニアでもあります(アメリカ風にシャーロキアンではなくイギリス風に「ホームジアン」と言いたい)。
 講談社ルビーブックス『シャーロック・ホームズ全集』全14巻(講談社インターナショナル。現在在庫切れ)。
 ルビー・ブックス ルビ訳シャーロック・ホームズ全集全14巻
ルビー・ブックス ルビ訳シャーロック・ホームズ全集全14巻

 挫折していたこのシリーズに、再度取り組もうと。
 講談社インターナショナル、というと、色々なコミックスの英文ノベライズや、日本文化を紹介する本の日英対訳版など、なかなかマニアックに興味深いものを出している会社。で、この「ルビーブックス」というのは、英文の、めんどくさい単語や言い回しには日本語の「ルビ」が振ってある、というもの。こんな感じです。
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 ルビーにルビ、と言ってもシャレじゃありません。「ルビ」は日本語では振り仮名とされますが、元々は「ルビーrubyサイズ」という、小さい活字のサイズのこと。(Wordでも、ルビーでなく「ルビ」と入力して変換しても、ちゃんとrubyと出ます。)
 ホームズを延原訳で読み、ドラマを見、関連書籍もほぼ全部読み、パスティーシュも同様。そして一度は原文で読みたいと思っていたのです。確かおばあちゃんも英語の教科書に載っていたと言っていたし、そんなに難しくはないらしい…という噂だし。
 そういう時にちょうどこの「ルビ訳」があると知って、早速買いに行きました(この、「行った」っていう時代が懐かしい)。(原文は他にも、『ストランド』連載時の誌面をそのまままとめて複製したもの!とかも持ってるんですけどねえ…)
 原文で読みたくても、辞書をいちいち引くのも面倒…最近は電子辞書もありますが、あれもちょっと私にはめんどくさい。でも、このルビ訳つきだと、基本的には辞書は要りません。本文は黒、ルビは薄いグリーンなので英文に集中する邪魔にもなりません。意味は大体つかめるので、本当に細かいところはすっ飛ばし読みでもいい。
 で…これ、出たのが1999年秋〜2000年3月(笑)
 買ったの、そんなに前だっけ…でも14巻全部出ていたから、やっぱり2000年ぐらいかなあ。
 私の「買って読まない記録」でもかなりのもんだと思います(--;)
 1巻は長編『緋色の研究』なので、最初は短篇集から行こうと手をつけた3巻『ホームズの冒険Ⅰ』の冒頭、「ボヘミアの醜聞」の途中にしおりが入ったまま、ン年…
 ルビ訳つきなのに何で読めなかったんだろう、と考えてみると、やっぱり、訳はあっても「英文を追う」ということに拒否反応が!(笑)目が、目がぁ〜!!(笑)
 ほうやくをよんだことがなく、すとおりいをまったくしらないひとのほうが、かえっていらいらしないかもしれません。(いかんまたふりいずしてきた)
 いやいや。今度はがんばってみよう。ちょっとずつでも。
 前回ちろっと読んだ限りでも、原文で読むと、もうさんざん抱いていたはずのイメージが更に変わった記憶があります。
 日本語で読んでも、特にあの傑作グラナダTV版ホームズを見ても、ホームズのワトスン好き好きぶりは凄いものがありますが(笑)(勿論、あのTV版の成功は、ジェレミー・ブレットが、「ワトスンにとってのホームズではなく、ホームズの方にとってこそワトスンが必要だったのだ」と解釈したその一事に尽きる。)
 この原文っていうのがまた!
 濃いんです!!(笑)
 もうねえ、dear、とか、my boyとか連発(笑)イギリス人って結構いいトシのおっさんでも友達のことをこんな風に呼ぶのね、という、知らなかった独特の濃密な雰囲気がプンプン立ち上ってきます。(元々ヴィクトリア朝では、あれほど同性愛が厳しく犯罪とされた時代なのに、紳士同士が腕を組んで歩く!のも何故か「良いこと」とされており、実際に2人がそうしている挿絵もあるなど、結局どのへんが境目なのかよくわからん!)
 まあ勿論、この2人ばかりではなく、やっぱり原文は生々しい。この場面はこんな風に言っていたのか、とか、よりリアルですね。ドイルのストーリーテラーとしての独特の文体、リズムも感じ取れます。あと、そもそもあの当時の英語の表現というのは今とは随分違うなとか(ちょっとした語順が違ったりする)。
 『Lord of the Rings』の原文(…第1部途中で挫折…)の時も思いましたが、作者が直接書いた文章というのは、要はもう「ニオイ」に近いものが立ち上ってくる。ぐわっと、登場人物の立ち上がり方が凄い。
 「翻って」言えば、それだけ翻訳というのは難しいもの。ホームズの翻訳も色々議論は尽きません。私はホームズシリーズは延原訳の新潮文庫でしか読んでませんが(最近ではより学問的に正しいとされる翻訳全集もありますが)、イメージは原作に近いことは近いかも(言葉の細かな誤りとされるものはあっても)。グラナダ版も最初はNHKで放映された吹替版で見たというのはありますが、私には素直にこの延原訳と繋がって違和感なかったですしね。多分この日本語版グラナダホームズも、日本人のもつ「ホームズ」のイメージ、即ち、流布している延原訳の感じに合わせて台詞も声優も選んでいたのではないでしょうか。もう翻訳だって最初のイメージを作った人勝ち、なんでしょう。それだけに後発品は苦労しますが、それでも、前任者をこき下ろすのとは別。
 そう、『チョコレート工場の秘密』も、もう邦訳があんなになっちゃったことだし、最初っから原文読めばいいかも(笑)そんなに難しくないって言いますしね。(この「中学生にも難しくない」とかいう言い方は、「今現在リアルタイムで英語バリバリやってる中学生なら簡単に読める」という意味という気もしますが…。今そう言われてるものを読もうとすると大抵読めない…。)
 まあ、リベンジしてみましょう。大体、英文ってのは英語の文法やってれば、意味だけはわかるはずなんだから。今は小学生から英会話中心に英語を…とか言ってるけど、会話だって文法が伴わない人は応用がきかずいずれは挫折します。ろくに学校の英語も真面目にやらないで大学入って旅行しまくって会話できるようになっても、TOEICとか役立つ資格が何にも取れない、ビジネスにはてんで役立たない、というのも、文法の基礎がない限りと、いつまで経っても「現地人で、教育レベルの低い人」ぐらいの会話しかできないからです。逆に言えば、日本語で複雑な会話ができる外人の芸能人って、それだけ知性もあって勉強もしてるってことです。
 話がずれた。とにかく、日本人は一応、中高で6年(最低でも3年)、大学・短大で一般教養でも1年か2年、計3〜8年はみっちり文法をやっているはず。私なんざ、小学校から文法とネイティヴに発音習ってたから14年か(笑)。理論上、読めるはずなんですよ。はず。うん。教育費及び経費回収のためにも、今度こそは全部読まねば…
 …のっとあびっとどくたー。すていうぇあゆーあー。あいあむろすとうぃずあうとまいぼずうぇる。…