イソロクとチョキン工場の秘密

t_masamune2006-09-08

 きょうはせっかくのきんようびなのに、いそろくくんは、まっすぐおうちにかえってきました。
 といっても、いそろくくんは「よあそび」や「おさけ」はすきではありません。きんようびのよるだけおそくまでやっている「びじゅつかん」にいきたかったのですが、いけなかったのです。せっかく、ごしゅじんも「えんかい」でおそいのだから、だいちゃんすだったのに。
 なぜなら、おさいふがもうからっぽだからです。
 しょくたくにほおづえをついてなげいています。
 「あーあ、たいじゅうはぜんぜんへらないのに、おかねはどんどんへってしまうなあ」
 いそろくくんは、とってもわがままです。
 ほしいものがかえないのは、がまんできません。
 ちいさいころから、おもちゃもごほんもおようふくも、すきなだけかってもらえたからです。
 おおきくなっても、「ごほんがほしい」といえば、りょうしんはおかねをくれました。いそろくくんのおうちには、
「きょうようのためのおかねは、けちってはいけない」
「がくれきはにもつにならないのだから、いくらもっていてもよい」
という「かくん」があったのです。
 だから、しりつのじょしこうにはいり、ぴあのとおしゅうじをならい、すうがくせんもんのたかいじゅくにかよったり、えいごはこじんのせんせいについてがっこうのおさらいをしたり、こうこうにはいると「よびこう」にもかよいました。
 でも、いそろくくんは、ぜんぜんりっぱなひとになりませんでした。いそろくくんは、「どりょく」がだいきらいだったのです。
 こういうひとが、ろくなおとなになるわけがありません。
 なんとかけっこんしてからも、むかしとおなじきもちでおかねをつかっていたので、とうとう、おこづかいがなくなってしまったのです。なくなったら、つぎのきゅうりょうびまで、もうだれもくれるひとはいません。
 しかもそれだけではなく、いまいそろくくんの「おこづかいちょう」は、なぜかなんまんえんもあいません。あるはずなのにおかねがないのです。そして、いくらごほんをうっておかねをかきあつめても、どんどん「かーどのしはらい」でひきおとされてしまいます。いそろくくんはまいつき「ひのくるま」なのです。
 そうそう、だからかみのけをきりにいくおかねもなくて、ぼうぼうになるいっぽうです。みっともないですね!
 「あーあ、おかねがないと、みうごきがとれないなあ」
じごうじとくです。
 しかも、おくさんなのに「せつやく」するどころか、「ろうひか」のいそろくくんは、すでに、じぶんのために「かけい」からおかねをかりていました。ひどいおくさんもあったものです。
 おかねがないうえに、「しゃっきん」もかかえていたのです。
 もう、「かけい」にかえすには、じぶんの「ていがくちょきん」をおろすしかありません。いそろくくんは、「きっといつかびんぼうになるひがくる」とおもい、むかし、ときどきちょきんをつくっていたのです。いそろくくんは、おかねをつかうのも、ちょきんをつくるのもすきって、へんですね。
 いっぽう、いそろくくんのごしゅじんは、とても「けんやくか」で、ぜんぜんものをかいません。「ちょきん」や「ほけん」や「まんしょんのろーんのへんさい」がだいすきです。いそろくくんとちがって「けいざいかんねん」がはったつしているのです。でも、いそろくくんには、
「ていがくちょきんをおろしてまでかえさなくていいから、まいつきすこしずつかえしなさい」
といってくれます。
 よいこのみんなは、きっとおもうでしょう、「どっちもどっちだ」って。
 やさしいうえにはんさむなごしゅじんのおかげで、ようやくいそろくくんは、すこしはましなことをかんがえるようになりました。
「きっと、いっぺんにかえさないと、かえさないだろうなあ」
 というわけで、いそろくくんは、きょうのおひるに、ゆうびんきょくに、「ていがくちょきん」をおろしにいったのです。
 × × ×
 自虐童話でした(笑)
 本題。
 「現在預けてある定額貯金で、利息が0.3%未満のものは、おろしてしまっても損はない、かもしれない」
 以前、「利息が0になる話」をした。1,000円単位の1ヶ月自動更新の定期預金は、切り上げだった利息が切り下げになったために、現在利息「0」、預けておいても無意味!になってしまったので、解約したという話。
 今回も、定額貯金(通帳の末尾にあるやつね)も元々利息低いし、そんなもんかなあと思って下ろしに行ったら、意外なことを聴いた。
 こういうものは先に預けたものから下ろすものだと思っていて、来年満期になる(つまり今9年目)の貯金など、古いものから今下ろしても損はないかどうか訊いてみたら、
「半年複利で利息がつくものなので、この当時の利息(0.80%)なら、満期に受け取った方がよい」
とのことだった。むしろ、
「半年経てばいつでもおろせる貯金なので、半年さえ過ぎていれば、逆に利息の(ムチャクチャ)低い最近のものから下ろした方がいい」
という。
「今、利息がまた0.3%まで戻してますから、このあたり(と、最近のものを指す)は…」
 ヘェ〜。
 一番最近作ったものは、4年前で、利息0.07%(!!!)。10年ちょっと前なら4%はあった利息が、どんどこどんどこ下がっていってこのていたらく。私の通帳は、貯金を作り始めた年代的に、正にバブルとその崩壊の軌跡である。
 ちなみにこの「利息」というのは、10年満期の定額貯金に、3年以上預けた場合に達する数字。3年未満で下ろしたら、利息はこれより安くなってしまう。
 今回は、この、4年前に作った分がぴったり今必要な額だったので、下ろした。利息、106円。
 利息が0.3%にはるかに及ばない定額貯金があって、まとまったお金が必要な人は、下ろすのにさほど躊躇う必要はなさそうだ。
 また、超低い利息で預けて、半年以上経っている定額貯金が満期までかなりあるなら、いっそ預け替えをし、また10年待ち直す方が得かもしれない。この預け替えについては、詳しくは郵便局でご相談を。
 しかし利息が上がっているということは、金利も上がっているんだよな…。
 × × ×
 「はー、いがいなことをきいたなあ。ゆうびんきょくのおねえさん、ありがとう」
いそろくくんは、おうちにかえると、さっそく、「かけいぼ」と「おこづかいちょう」に、「かえしました」とほこらしげにかきいれました。
 でも、「かけいぼ」も「おこづかいちょう」も、もうながいあいだ、なんまんえんもあいません。
 ごしゅじんにそうだんすると、ごしゅじんは、
「そういうのは、いっぱんしゃかいでは、『しとふめいきん』として、ぜいきんがかかるんだよ。おうちでも、あわないぶんは、『しとふめいきん』としてしょりして、またいちからやりなおしなさい」
とおしえてくれました。
 いそろくくんは、いつになったら「まにんげん」になることができるのでしょうか。