清水義範の絶倒

 下らないことばかり書いてないで本のことを書きなさい。ハイ。(天からのお叱り)
 最近集中して読んでいるのは清水義範。私が「集中して」というのは(まあ誰でもそうだろうけど)面白くてしょうがないから、である。
 最近何事も億劫で後回しなのだが、これだけは書いておかねばなるまい。
 清水義範は面白い。
 うーん。この人のことも、この年まで知らなかったというのもお恥ずかしい。
 でもこの人も、筒井御大同様、ある程度のトシになってから読んでよかったのかもしれない。
 何せ、「パスティーシュ小説」という分野のパイオニアで第一人者で…いやこの人の他にも聞かないけど(笑)
 普通、というか私の知っている「パスティーシュ」とは、「ホームズ物語のパスティーシュ」とか、「金田一もののパスティーシュ」とかというもので、つまりパスティーシュとは、「いかにもパスティーシュを書きたくて作家が群がりそーな分野」に存在するものだと思っていた。
 が。
 清水さんはこのパスティーシュこそが持ち味なのであり、作品の多くが、実に様々な文学のパスティーシュ、あるいはパスティーシュ風味なのである。これはどこを切っても金太郎な飴のようで楽しい。
 しかもそのパスティーシュの対象が広いのみならず、どう料理するかという芸風も広い。マージャン、囲碁、競馬(残念ながらこの3つは私にはわからない分野なのだが)に至るまで。
 勿論、「パスティーシュ作家」とだけ言うと何か自分ではオリジナルが書けないように思われそうで気の毒だし、パスティーシュじゃなくて純然たる創作でしょ?と思えるものも多い。(ついでだがかなりの量のジュヴナイル作品もある。こちらは読む気はないが)
 とにかく、面白い。
 これは面白い。
 筒井御大同様(エッセイにもそういえば筒井御大のマージャンを後ろから覗き込んだというくだりが(笑))、元ネタがわからないと楽しめない、という意味でも、余計にムフフだ。
 つまり、筒井御大とこれも同様、知性のない奴ぁわからない。(オイオイ)
 つまり、私と似た読書傾向の方は、未読ならもう今すぐ読んでそして笑って頂きたい。
 つまり、そういうことなのである。
 と、文体も影響力があるのである。