究極の選択

 これまでの経緯は日記にも書いたり書かなかったりだが…
 移った先の大学病院で産むか、近所の産院に戻るか(その際は、今度は大学病院からの紹介状を書いてもらうことになる)。
 下手に一長一短であるだけに、未だに決められない。
 前回、病院の助産師さんに時間を割いてもらって色々話を聞いたが、今時は大学病院でも結構優しいらしい(弟からはロクな症例を聞いていないが)。
 常識的に考えたら、何時間もかかって記録を作り、産科・腎臓内科・泌尿器科(結石ではなさそうとの診立てなので、またお世話になることは多分ないのだが)の3科のカルテを共有している大学病院からまた近所に戻るというのはバカらしいし、近所でももう面倒は見たくなさそうというのが実感。産科の先生も、「わざわざ戻ることはお勧めしない」と言う。だが、腎臓内科の先生は「どこで産んでも問題ないレベル」と言う。
 しかし、何と言っても、大学病院は余りにも待ち時間が長すぎる。昨日も、「10:30〜11:00」という予約時間のために10:00に受付をして、呼ばれたのが11:30(昨日は、「今日は特別混んでいて、次回はこんなことはない」とは言われたが)。前回の、普通の病気も診る先生から今回の妊婦検診専門の曜日に代わったのは、「その方がもっと時間も取れるから」ということだったのに、昨日は混んでいたのでせかせか扱われ、15分ほどで終わってしまい、ろくに訊きたいことも訊けなかった。1科のみで、しかも計算が楽だったのか、幸い会計は5分も待たずに終わったが(毎度30分は待つものなのだ)。
 これが、あと2ヶ月ほどすれば、週1回の通院になることを考えると、毎回2時間3時間仕事では…(帰りに検診の医療費助成*1の申請に寄った区の保険相談所では、地区担当の助産師さんには、「1時間も待たない近所の産院の方が恵まれているのであって、どこでも1時間待ちは普通」と言われたのだが)
 ただ、この「待ち時間」*2を除けば安心は安心。
 それに、この大学病院の明細書と、近所の産院の、「出産までにこの時期にこれこれの検査をしてその都度料金はいくら」という一覧表を見比べると…明らかに近所の産院は高い。
 一例を挙げてみると。
 7ヶ月の検診2回(2週間毎の検診なので)でそれぞれ「子宮頚管長*3測定」をすることになっており、2回で10,000円弱!
 これが大学病院では、昨日、「ちょっとこのところお腹が張りやすい」*4と申し出たところ、外部からのエコーの後、内診で調べてくれて、「異常なし」(ということは、頸管長も普通だし早産の気もないということだと思う)。後で会計の明細を見ると、検査料として180円(但し丸ごと自費)。再診料700円(産科ってのは全部自費)と合計で、今回はたったの880円。勿論これは稀な日で、血液検査などが入ると数千円にはなるが(だからここ2回ほど、保険がきいても内科の方がずっと高かった)。
 わざわざ「測定」と銘打たなくたって、心配ならその都度調べてもらえばいいわけで(そのために、予定日が近づくほど検診の間隔が狭まるのでもあるし)、開業医、それも産科となると精神的には確かに厳しいだろうけど、自由な裁量がきく上に産科の検診はモロ自費である分、ある程度好きなように価格を設定して、儲けようと思えば儲かるんだなあ(それに、エコーや内診でも1,500円ぐらい取ってたと思う)。そういやあ、前回やった「骨密度測定」だって、よく考えたら今更骨密度がわかったところでどうしようもないのに、6,300円!取られたしなあ。そこいくと、一般の病院の診療報酬点数はやっぱり厳密に決まってるっぽい。
 比べてみなかったら絶対わからなかった差で、近所の産院の値段にも、「そんなもんか」と納得してしまっていたかもしれない。
 ただ、先のことがある程度見通せる、という安心感は、こうして予めいちいち示してくれる産院であり、大学病院だと、そこで産むと決めない限りはプランを示してくれない分常に不安である。大学病院には、「あなた任せの治療にせず、患者も勉強を」と言う前に、早め早めにある程度プランを示してほしいが、逆に言えば臨機応変というか、それなりのよさもあるのかもしれない。
 というわけで、昨日相談して決めるはずが時間が全くなく、結局また次回までに考えることに。
 お産難民というわけではなく、ある意味贅沢な話ではあるが、このままでは全く踏み出せない。困った状況である。

*1:自治体によっては、自費で払う妊婦検診にちょっとだけお金がもらえる。うちの区では、従来10,000円だったが、「4月以降に検診を受けるか、出産した人」は、一挙に倍の20,000円になった。なので昨日、喜び勇んで申請に行ったのである。来月振り込まれる予定。また、前期と後期の1回ずつ補助があり、検診が安くなる。それでも、全期間を合計すると検診だけで10万円以上かかるのだから、焼け石に水だが。出産費用はまた別に、安い所で30数万、某いくつかのブランド病院になると70万!程度かかる。一旦自分で立て替えた後、一律、国保または会社の健保から「出産育児一時金」として、従来は300,000円だったが、昨年10月以降は350,000円支給される。健保によってはこれに数万円の上乗せがあるところもある。妊婦検診の無料化が叫ばれており、検診に関しては確かに保険適用も考えて欲しいが、出産費用そのものは、普通の施設で産めばトントンぐらいにはなるようになっているのだ。また、自分で一旦立て替えなくても、新しく「代理受取」といって、病院によっては健保から病院が直接出産費用を受け取ってくれて、差額だけ窓口で払えばいいというシステムもあるので、現金を持ち歩かなくてもよくなりつつある。がしかし…諸外国では基本的に全て最初から無料である。

*2:ちなみに、先日『週刊ダイヤモンド』に載っていた「全国病院ランキング」でも、この病院が他の病院や私立医大に負けて「10位」だった最大の原因は「待ち時間の長さ」だった。

*3:子宮の、巾着袋に例えると、紐で縛った所から袋の口までの長さ。通常4センチ程度。これが短くなっているということは、胎児下降が疑われ、子宮口が開きかけているわけで、早産の可能性が高くなる。

*4:「お腹が張る感じ」とは子宮が収縮していること。つまり胎児を押し出そうとする動き。中期から後期には心配のない張りが出てくるが、痛みや出血、規則性のある場合は早産に繋がるので注意が必要。