世界一のマイ食卓――鴨居洋子『カモイクッキング くらしと料理を10倍楽しむ』(ちくま文庫)

カモイクッキング―くらしと料理を10倍たのしむ (ちくま文庫)
カモイクッキング―くらしと料理を10倍たのしむ (ちくま文庫)鴨居 羊子

筑摩書房 1998-05
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 料理のレシピ本ではない。エッセイの中に料理とその簡単な作り方が登場する。
 著者は女性下着デザイナーで、恥ずかしながらお名前もこの本を読むまで存じ上げなかった。エッセイは本業ではないのだが、かなりの定評があるらしい。
 その通り、まず、エッセイが爽快で楽しい。実はあとがきにあるように、著者は物凄い料理人というわけではない。しかし、子供の頃から食べることが楽しみで、そのためだけにでも元気でいて、丈夫な胃袋を持ち続けよう、という人生観の持ち主である。私も同様なので、このエッセイ集は実に楽しかった。料理がらみのエッセイでは久々の大当たりである。
 出てくる料理も、早速ドカンドカンザッザッと作ってみたくなる。エッセイの口調と、飾らないレシピから、正にこういう擬音がピッタリなのだが、決してガサツな料理ではない。あくまで、人に誇るための食通でもなく薀蓄タレでもなく、ただただ美味しいものを知り、そのレシピを教えてもらい、自分にとって美味しいものを作って食べて幸せになりたい―――そういう姿勢に貫かれているので、ザッザッであり、バババッと何品も作って並べて楽しみたくなるのである。
 本当に、食べるためこそ人生!という生き方で、こんな風に食事を作っていたら、暮らしと料理はお互いに10倍以上楽しくしあうだろう。
 …というわけで、この本買いたいのだけど(本はいつも一度図書館で借りて読むので…)、どっかの古書店に出ていないかなァ。