しっこ!!

 つっても子供のことじゃないぞ〜(…下品な。)
 あの、当局の手を恐れてフィルムをカナダに隠したとか色々言われている話題の映画…「SICKO」。件のマイケル・ムーア監督のね。これって、アメリカの医療制度の話なのね。ナルホド。
 俺の、モロに前の仕事っつか、図書担当として購入していたのが正にこのへんの本なのだ。
 私がいた図書室というのは、「海外の社会保障制度を研究する」という目的の部署に所属しているもので、年2回、春と秋に、新規購入する本を選ぶ、というのが一番の仕事だった(あとは毎日毎日座ってるだけ(笑))。で、そこで選ぶ本というのが当然、海外の社会保障制度に関する本で、それがアメリカのものとなると、近年はやはり批判的な本が多かった。
 簡単に言うと、アメリカの医療保険制度というのは、
「払った保険料相応の医療しか受けられない」。
 メディケアとかメディケイドとか何とか言うもので、民間の保険会社がやっている。日本のような、国家による国民皆保険制度ではないのだ。(となると、国民が持っている「社会保障番号」ってのがようわからんのだけど)
 昔、子供の頃、「アメリカでは歯医者に保険が利かないので、アメリカの親は子供に物凄く厳しく歯のケアをさせる」と学校で習った憶えがあるけど、これって、美談でも何でもなく単に制度の不備だよ(笑)
 病気の性善説というか、日本では、「どんなに気をつけても虫歯や病気にはなるものですから、なったらお助けします」っていう、まだそういうちゃんとした保険なわけ。
 日本が見習う、という意味で資料を集めていたのはやっぱりドイツ、イギリス、フランスあたり。
 あえてこの、格差社会だの、お上は信用できないだのという風潮に逆行するようなことを言わせてもらえば。
 日本の皆保険制度を信用、利用しないなんて、勿体ないっすよ。
 つか、むしろ今のうちに使っとけ(笑)←社保本人3割は納得いかんがな…
 問題だらけのアメリカなんかの保険会社の、一見安くていいような保険が大量にCFやってるけど、そんなもん要らない、って本も出ている。
 タイトルが極端なのと内容も完全ではないが(レビューを見る限り)、目先の安全に飛びつくように「医療保険」に入る前に、本当に必要なものを見極めなさいという意味では有用な本かも。
 医療保険は入ってはいけない!
 正に、外資系の医療保険に気休めの小金払うより、もっとちゃんと日本の医療保険制度について調べた方がいいのだ。(いや教えてくれない体質は確かに問題だけどね。払う方の宣伝はじゃんじゃんして、返してくれるお金のお知らせはしないのが日本という国だから。)
 高額療養費の支給制度とか、退職者医療とか…
 こういう制度は、使うはめになってみて初めてその有り難味がわかるものだから、それよりも目の前にガンガン流れている外資系保険会社のCFに乗せられるな、という方が難しいとは思うけど…
 利用した人の話によると、(白血病で臍帯血輸血その他その他で)月に100万円以上の医療費がかかっているけれど、実際の持ち出しは10万円チョイ。これは10分の1になるということではなく、どんなにお金のかかる治療を受けても、払わなければいけないお金には上限がある、ということ。絶対的には高いけど、じゃあ実際アメリカで同じ医療を受けたら…いや、それ以前に、安い保険料の人は、その100万円の治療を受けられない可能性がある。
 はっきり言って、マスコミ報道はちょっといきすぎ。日本の場合、あくまで社会保険料なり国民保険料を払ってさえいれば、「お金がなくて治療が受けられない」ということはまずない。それが皆保険制度というものなのだ。
 今ある国の制度を知らずして、モロに「団塊の金狙い」の面が強い外資系保険に惹かれるのはナンセンスだ!と私は言いたい。
 そりゃ、本を選んでいると、日本の医療保険制度について厳しい意見の本も沢山ありますよ。でも、アメリカよりはましだよと思う(笑)。日本の医療制度について批判する本も、「アメリカ型にすんな!」っていう内容のものもあるし。
 つまりは、ヤバい国の医療制度を「見習おう」としているバカな日本に、その主にヤバい国の保険会社が攻勢をかけているわけだ。変。
 ちなみに、私は昔某S友生命の保険に入っていたが、腎生検のための入院では不払いされ、その後解約した。キートン先生も言っている通り、保険とは所詮、「一定期間内に被保険者が死ぬかどうかに金を掛け合うギャンブル」なのだ。
 今は、某ア○ホの医療保険には入っているが、掛け捨てだし、ほとんど気にしていない。この保険に入る時には医師の審査不要だったが、実際に入院した時、それが持病によるものなら、保険料が本当に支払われるのかはわからないので。
 保険会社というのは、できれば保険料を払いたくないのだから。
 元々女性にとって最大のイベントである妊娠出産に利かない、とか、持病のある人は入れない(入れる保険もあるが、女性特約が高い、持病アリだと年齢制限&バカ高い)などという自体、「保険」というものの欺瞞をよく表している。私のように持病で医療がいつ必要になるかわからない人間が、かんぽにも都民共済にも入れないのだ。
 所謂、保険制度でない「医療保険」は、健康な(持病のない)人間、つまり、元々保険料を払わずに済む可能性の高い人間を選んで入れているのである。
 これってよく考えたらおかしいでしょ?払う気が最初からないってことだから。
 つまり、「真面目に払ってたら保険会社が潰れる」というぐらいの人間を保険に入れておいて、それを「いかに払わずに済ますか」なわけだ。
 そんな「保険会社」信用できるか?(これは、日本でも外国でも同じだけどね。保険会社を救うための保険なんてのもあるし(笑))
 国を信じるのも今では難しい…と言われるかもしれない。だったらせめて、「潰れる前に使う」つもりでいいから、まずは、外資に小金払うより、真面目に社保、国保を払って欲しい…と思う今日この頃。(確かに、会社が半分払う社保に比べたら国保には割高感はあるけど、そういう問題じゃないのだ)
 前にも書きましたが、社保なり国保なりに入って保険料を納めていれば、出産だって35万円支給されるので、普通の病院にかかれば実質的にはタダですし。
 ↓このへんの本をバリバリ買ってました。(医療保険といえば市場原理、というタイトルばっかりなことだけでも、あの国の医療保険が今どういう状況になっているかお分かり頂けるでしょう)
 病院の内側から見たアメリカの医療システム
病院の内側から見たアメリカの医療システム

 病院の外側から見たアメリカの医療システム―病院・保険・サービスの成り立ちと現況
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 市場原理が医療を亡ぼす―アメリカの失敗
市場原理が医療を亡ぼす―アメリカの失敗

 アメリカ医療の光と影―医療過誤防止からマネジドケアまで
アメリカ医療の光と影―医療過誤防止からマネジドケアまで

 市場原理に揺れるアメリカの医療
市場原理に揺れるアメリカの医療

 介護地獄アメリカ―自己責任追求の果てに
介護地獄アメリカ―自己責任追求の果てに

 というわけで、映画の方ですが…今は別のしっこにかかりきりなので、DVDになったら見ますわ。
 ちなみにうちの娘は、生後2日にして保険証を入手し(相方、娘のこととなると行動早え!!)、0歳児にして入院記録アリです(目やにを細菌検査に出しただけなんで、形の上だけだけどね←乳幼児医療助成制度、所謂「マル乳」で、入院費は無料←でも1ヶ月検診は確か自費)。