あの十字をよく見てね

 「英国旗、200年ぶりに変更も=ウェールズの赤い竜をデザインに」
 http://www.jiji.com/jc/c?g=int_date1&k=2007112900115
 ウェールズが、「うちのシンボルも入れてよん」と言っている。これに大臣も「考えてみるね」と。
 英国国旗はユニオンなジャックである。何故ユニオンかといえば、イングランドスコットランドアイルランドそれぞれの守護聖人(聖ジョージ=竜退治で有名、聖アンドリュー、聖パトリック=緑がシンボルカラー)の十字が入っているからだ。
 サッカーに詳しくない人は、「え?何でイギリスじゃなくてイングランドなの?」と思うだろうが、それぞれ別の国として予選に参加しているのだ(ラグビーもそう)。だからイングランド代表のユニホーム、あれは正に聖ジョージクロスなのである(胸のエンブレムにもイングランドのシンボルである3頭のライオン。故に代表チームを「スリーライオンズ」と呼ぶことも…なかったっけ?)。
 ところがウェールズは早い時期にイングランドに統合されてしまったので(英国皇太子を「プリンス・オブ・ウェールズ」と呼ぶのは、1301年に王様が息子をウェールズの後継者を兼ねさせることで両国を統合したことに由来する。また、皇太子は立太子前にウェールズ地方の地名である「コーンウォール公爵」の称号も持つ。故に現在皇太子夫人は「コーンウォール公爵夫人」かつ「プリンセス・コンソート」である)、その象徴である「赤い竜」は国旗に入っていないのだ。
 …今からそのまんま入れたら大変そうだが…
 シンボルでいえば、スコットランドはアザミ(ややこしいことに確かこちらでも、竜もシンボルだった気が。このへんは昔詳しくブログに書いたかも)、イングランドはバラ。現女王の即位式のマントにも刺繍されていた。動物だったらイングランドが3頭のライオン。
 とにかく、イングランドはUK(United Kingdom)であり(「イギリス」なんて呼び方をするのは日本だけ)、それぞれの象徴は何通りかある。
 そうそう、王室のご紋章を見ればいろいろ入っている。イングランドのライオン、スコットランドの赤い竜(だからややこしいんだって)に、ここではアイルランドの象徴はアイリッシュハープ(ヨーロッパでは普通、ケルティックハープという)がシールドの中に、シールドの下(台座)にはイングランドのバラとスコットランドのアザミ。ちなみに、上下にあるモットーは「デュー エ モン ドロワ」(神とわが権利)。
 ちなみに、「パイレーツ・オブ・カリビアン 呪われた海賊たち」で、目ざとい人は気づいたと思うが、英国国旗に実は1つクロスが足りない。この映画は、アイルランドが統合されるほんの数年前の話らしい。