薬師寺vsダーウィン

 東京国立博物館でやっている「薬師寺展」に行きたい。
 今日、母も「行きたいのよね」と言っていたので、愈々実現に向けて動くべしと決定。母が行きたい日に行くつもり。
 さて、前に、子供向けのお出かけガイドに、東京国立科学博物館(科博)は載っていても、東京国立博物館は載っていない!という記事を書いた(3月6日)。
 この、国博が載ってないってのは、やっぱり、思い込みからきてると思う。
 あのね。子供を持った親が、本当に1日24時間1年365日、子供中心に生きるかい?
 でも、このガイドブック、科博は載せても国博は載せてない、ということは、「子供連れで国博にいく奴ぁいないだろう」と、作り手は考えているのだろう。
 言い換えれば、「ひとたび親となれば、子供の好まなそうな所には行かないだろう」ということだ。
 でも。
 小さい子供が芸術品を好まないと何故決められる?
 子供は必ず科博の方が楽しいと何故わかる?
 暴論だ。
 同じ上野にあって、同じような意図の施設で、片方が載って片方が載らないのは何か変な思い込みが、作り手にある。(アンケートハガキにそう書いとけばよかった)
 それに、「親の行かなくてはならない、あるいは行きたい場所に子供を連れて行く」ということは普通である。そもそも、子を持った親に「子抜き」の外出こそ、ほぼありえないのだから。
 そういう意味のガイドでもあってほしいんだよね。だってそもそもタイトルに「こどもとおでかけ365日」って書いてあるじゃん!!
 まあ、あんまり期待しても、それこそ世の中の全部の施設を載せなきゃいけなくなるから、どこかで切らなくてはいけないのだと思うけど。この本はあくまで、「親が子供のためにのみ外出する時のためのガイドブック」なのだろう。この本に載ってないような所に行く親が間違ってる…とまでは、表立っては言ってないけど、まあそれに近い扱いなのだ。私のような親は。
 でも、国博が載ってないのは、絶対に間違いだと思う。
 ああいう所が好きな子は、いると思う。子供の側から見ても、やっぱり作り手の思い込みだ。
 まず、それはそういうことで。
 で、もう一つ、施設側の問題。
 薬師寺展にはベビーカーで連れて行くか?それとも電車に乗るからキャリアに入れていくか?電車の中では本当はベビーカーは畳まなくてはいけないのだが、実際には、空いている時はそのままの人もいる。私もそういう人を見ても、空いていれば別に邪魔だとは思わない。混んでいる時は皆さん畳むと思うし。だから、すいませんが畳みません…という可能性もありで、駅から博物館までちょっと距離もあるし、博物館の中でも時間がかかるので、ベビーカーか。
 せめて、博物館でベビーカーを貸してくれると、問題はかなり解決する。
 が。
 国立博物館の公式HPを見ると、ベビーカーの貸し出しはなし。どころか、混んでいる時はベビーカーの使用は遠慮してもらう(観覧中は預かってくれる)とのこと。
 何のことはない、国博自体も子供向けではないのだ。
 勿論この点も、改善すべきだと思う。
 だが、オムツ替え台は結構沢山のトイレにあることを今回知った。
 しかも、授乳も、救護室で出来ると書いてある。これは「へー」だった。てっきり、平成館のあの広いロビーの隅っこで授乳用ケープでも使えば目立たんかなとか思ってたのだが。まあ私は早いうちにミルクになってしまったんでその点は平気なのだが。
 それにしても。子供向け対応がなくはない割にはベビーカーに冷たいというのは、よくわからない。
 勿論、デパートではないので、多くは求めないが、変というか半端だ。
 国博のバリアフリー情報は詳しくはこちら。 
 http://www.tnm.jp/jp/guide/barrierFree/index.html
 じゃあ科博はどうなんだ…とこれも公式HPで調べてみると、何とベビーカーの貸し出しあり。
 混んでいる時は遠慮しろとは書いてない。書いてないけど実際どうだかはわからない。でも少なくとも、貸し出すという発想はある。ベビーカーって3、4歳までは乗せられるから、まあそのぐらいの齢の(多分主に)男の子(子供一般)からは、科博で何か観ても楽しめるだろう、という想定なのだろう。
 何で「科学」とつくとこんなにも違うのだろうか?
 私から見ればそんなに変わらないと思うのに…
 やはり世間ではかほどに、「子供は科学好き」という思い込みは強いのか?(というか、「子供は科学を面白がらなくてはいけない」っていう間違った価値観?)
 化学実験がどんなに面白そうでも興味のない子供がいようと、男の子が科学を好きでなかろうと、科博の方が好きな女の子がいようと何らおかしくないと思うのだが。(ちなみに私は、どんなに面白そーな実験をされてもその科学的意図を理解する能力がなく、小学生の頃から仏像好きである。)
 科博のバリアフリー情報は詳しくはこちら。
 http://www.kahaku.go.jp/visitor_info/ueno/accessibility.html
 ただ、科博とて、果たしてA型ベビーカーがあり、そこに小さい赤ちゃんを乗せる親がいるかどうかは不明だ。流石に乳児ともなると、これは国博と一緒で、連れてまで行くかどうかは個人の問題だろう。私だって、子供の首も据わらないような頃に無理して展示会見ようとは思わなかった。ただ、外出できるようになっても、ベビーカーという障害が立ちはだかるというだけだ。(デパートのベビーカーは、寝かせて乗せる箱型のものと、B型の両方がある)
 結局、しょうがないから薬師寺展は…
 キャリアで出かけるだろうなぁ。(というか、「行かない」という選択肢は?(笑)←そもそも、薬師寺自体行ったことあるじゃん!)
 親と交互に抱っこすればまあ何とかなりそうだ。その代わり、子供を座らせる場所がないからメシが食えないが。
 もしくは、平日に行くつもりなので、電車の乗り降りのたびにベビーカーを1人で畳む(これ、ストッパーが固いんで結構辛い)か、申し訳ないが畳まないつもりでベビーカーで行くか。しかし、畳まないとかなり乗り降りに自己責任なのは当然だが、電車が来る前にベビーカーを畳み、8キロの子供を抱いて、4.6キロのベビーカー(勿論もっと軽くてコンパクトなのもあるが、そういうのは使う時にヤワい)を背負って乗るのも同じぐらい危険だ。どっちにしたって母親1人ってのはキツいのである。むしろ空いていて短い区間なら、畳まずに乗ってしまって、親も座らずに隅っこにいた方が周囲にも迷惑にならないかもしれない。
 ちなみに、都バスには「ベビーカー固定用シート」があるが、シルバーシートと車椅子固定用シートを兼ねているためお年寄りが座っており、使われているのを見たことがない。また、電車にも車椅子用スペースがあるが、ベビーカー用のスペースはない。
 そもそも、世間が余りにもベビーカーに冷たいことが、なかなかベビーカーを買わなかった、かつ、電車での外出を余り想定せず、普段の走行性を優先した製品を買った理由である。
 だが、好んで危険な乗り方をするのが悪いんであって、ベビーカーで外出せざるを得ない場合はいくらでもあるのだ。ベビーカーで電車イコール迷惑と危険なら、母親は家にいろということになってしまう。
 そういえば、障害者には駅員が親切に対応しても、ベビーカーの介助をしてくれるってのは聴いたことがない。勿論まるっきり同じ扱いをしろとは言わないが。駅にはエレベーターがあるというのなら、車椅子用には階段にもリフトがある。でもベビーカーはエレベーターのみか、エレベーターがない駅では、1人で子供とベビーカーを持って階段を上がるかエスかエーターに乗っていても駅員は無視(昔はもっとエレベーターなんかなかったから、よっぽど母親ってのは家にいざるをえなかったんだろう)。危険を承知で外出しなくてはいけないのは障害者も母親も同じなのに、現状、後者だけが「わがまま」だということか。
 こういう、きわめてフェミニズム的社会派的記事は最も書きたくないものなのだが、日光月光菩薩見てえよおおーということから長くなった。 
 今薬師寺に行っても見られない。2人共東京に連れてきちゃって、観光客の皆様、ゴ・メ・ン・ネ♪