金城一紀『レヴォリューションNo.3』(角川書店)

レヴォリューション No.3
レヴォリューション No.3
 リクエストしていてずっと貸出中で、先日やっと届いた。
 表題作と、「ラン、ボーイズ、ラン」と「異教徒たちの踊り」の3作。時系列でいうと、『フライ、ダディ、フライ』の後、『SPEED』の前。
 いやー。
 自分がこのテの、というとどのテなんだということになるが、ともかくこういうタイプの小説を気に入るとは思わなかった。長生きというのはするもんだ。
 結局、彼らの何がいいかって、彼らは何一つ無駄なことはしていないってことなのだ。
 しかもそれは全部、彼ら以外からは無駄に見えることなのだ。
 そして、こう言われれば彼ら自身が一番こそばゆいと笑い飛ばすだろうが、合理的なのだ。物凄く合理的なのだ。最高に合理的なのだ。こんなに合理的な奴らはいない。言い換えると、合理的という言葉が言葉の意味通りの褒め言葉になる、珍しい奴らだ。
 「見たものだけを信じる」と、「異教徒たちの踊り」で彼らは言う。でも、見たものだけを信じて間違わないためには、やっぱり彼らの中にちゃんとある必要なものがあるからだ。その必要なものが、羨ましい。