椎名誠『玉ねぎフライパン作戦』(角川書店)

玉ねぎフライパン作戦
玉ねぎフライパン作戦
 図書館に予約を入れて届く届かないの話だと、これは超速かった。何と、外出先にあった本屋で見つけてその場で携帯で予約を入れて、帰りに図書館に寄ったら届いていたのである。こういうことがあると流石に、自分は鬼か悪魔かと思う(^^;)。
 さて、本屋で見つけた時は、「あ、赤マントシリーズの新刊だ!」と思ったのだが、借りてみたら角川書店。『夕刊フジ』の連載だった。まあ。だって体裁がそっくりなんですもの。
 赤マントシリーズは旅から旅への楽しいエッセイで、この本は酒についてのこれまた楽しいエッセイ。というか、椎名誠作品は99%は読んでいるし、どれも楽しい。
 男が本当に旨いものに出会った時には、言葉はない…というのは、確かに正しい。旨いもんなら黙って食べて感動してればいいんだろうなぁ。
 しかし。
 この本には、奥さんのチベット取材中の一人暮らしの料理の話が得々と書かれているのだが―――
 ダシを取った後の焼き干し(これが美味しいと自慢しているなら尚更だ)や昆布かつおぶしを捨てているようでは、まだまだである。
 そういうものは、食うんである
 うちでは1回にまとめて3リットル弱のダシを取るのだが、これが4、5日分。煮干、昆布、干し椎茸の「トリオダシ」。気力があればかつおぶしもブレンドして「クワトロダシ」である。
 煮干は、そのまま入れて食べる家と取り出してしまう家があると思う。うちの祖母や母は、「そんな下品な味噌汁を!!」と言って、煮干は捨てる。でも私はフニャフニャの煮干が好きなのでそのまま食べる(逆に、硬いものが苦手なので、将来歯が悪くなりそう…)。
 昆布も椎茸も捨てるなんてとんでもない。昆布は何かと(勿論椎茸とでも)炒め煮、沖縄だったらクブイリチーという炒め物になるのは当然。椎茸も同様。私も最初はいちいちそうしていたのだが面倒になってしまった。
 だったら。
 そのまんま食べちゃえばいいじゃん。味噌味もつくし♪
 昆布は極細切りにして、椎茸も薄切り(元々スライスタイプの干し椎茸ならもっと楽)。勿論煮干もそのままで、新たにお湯を入れて沸かす。つまり二番だしを取るのである。(既に取った一番だしも、翌日から贅沢に味噌汁や、子供の離乳食のベースになるし、煮物にも使う。)
 これを我が家では、「だし残り味噌汁」と呼ぶ。
 結構ボリュームがあるから、立派な具入り味噌汁になってしまう。
 当然、カルシウムと食物繊維たっぷりの、実質一食分タダで栄養満点の味噌汁である。
 …これを貧乏と呼ぶなら呼べーい。
 (その分、味噌汁や煮物に無駄に一番だしを使っているとも言える…がそんなことはどうでもいいのだ。そもそも、お吸い物の方が滅多に作らんだろう普通…)
 ちなみに、かつおぶしは味付けして炒ってふりかけにするという手もありますが、私はその場で立ったまま食ってしまいます。全部は無理だけど。生まれてすぐから2歳ぐらいまで海辺で育ったせいか、どうも海のものには抵抗がありませぬ。