北森鴻『香菜里屋を知っていますか』(確か講談社)  

香菜里屋を知っていますか
香菜里屋を知っていますか北森 鴻

講談社 2007-11-29
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おすすめ平均 star
starいい終わり方だったのでは
starちょっと拍子抜け?
starあっさりしすぎている

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 久々の!北森作品。この人といえば、民俗学者蓮杖那智シリーズと、旗師冬狐堂という2大女性人気キャラクターがいるわけだが…
 この『香菜里屋』を読んで、これもシリーズものだったことを思い出した(笑)
 いや、本当に久々だったんです。久々に、新作ないかな…と検索してみて、ヒット。
 『花の下にて春死なむ』『桜宵』『蛍坂』ときて、今回が最後です。
 三軒茶屋にあるビアバー「香菜里屋」。そうそう、三軒茶屋っていうのも実家の地元というか近くなんで、懐かしいんだよなあー。
 北森さんといえばもう、押しも押されぬ短編の天才!読み終えて、いつも、「あ〜〜〜。」と、気持ちよく天を仰がされる!
 その北森さんの、正に真骨頂がこのシリーズではないだろうか?
 「香菜里屋」に持ち込まれた謎は、店主・工藤によって必ず解かれる運命にある―――
 しかし、最後なんです。これで。最後なんです。そう言われると寂しいなあ。勿体ないなあ。でも終わり方からするともう絶対次はないだろう。哀しい。
 そうそう、そもそも、私が北森作品に出会ったのは、料理をモチーフにした短編集『メイン・ディッシュ』(集英社文庫)でだった。この人の料理描写は本当に凄いのだ。
 初めて明かされる工藤の過去。そして彼は、失ったものを取り戻すために、再び旅立つ―――
 最終章で、出てくるわ出てくるわ、あの人があの人が…このあたりも、北森ファンにはたまらない展開だ。
 できれば、彼のその、行った先での活躍も見たいのだが、それではシリーズの趣そのものが崩れてしまうだろう。我慢しよう。彼がその望みを無事果たすことを祈る。