北森鴻『香菜里屋を知っていますか』(確か講談社)
香菜里屋を知っていますか | |
北森 鴻 講談社 2007-11-29 売り上げランキング : 16709 おすすめ平均 いい終わり方だったのでは ちょっと拍子抜け? あっさりしすぎている Amazonで詳しく見る by G-Tools |
この『香菜里屋』を読んで、これもシリーズものだったことを思い出した(笑)
いや、本当に久々だったんです。久々に、新作ないかな…と検索してみて、ヒット。
『花の下にて春死なむ』『桜宵』『蛍坂』ときて、今回が最後です。
三軒茶屋にあるビアバー「香菜里屋」。そうそう、三軒茶屋っていうのも実家の地元というか近くなんで、懐かしいんだよなあー。
北森さんといえばもう、押しも押されぬ短編の天才!読み終えて、いつも、「あ〜〜〜。」と、気持ちよく天を仰がされる!
その北森さんの、正に真骨頂がこのシリーズではないだろうか?
「香菜里屋」に持ち込まれた謎は、店主・工藤によって必ず解かれる運命にある―――
しかし、最後なんです。これで。最後なんです。そう言われると寂しいなあ。勿体ないなあ。でも終わり方からするともう絶対次はないだろう。哀しい。
そうそう、そもそも、私が北森作品に出会ったのは、料理をモチーフにした短編集『メイン・ディッシュ』(集英社文庫)でだった。この人の料理描写は本当に凄いのだ。
初めて明かされる工藤の過去。そして彼は、失ったものを取り戻すために、再び旅立つ―――
最終章で、出てくるわ出てくるわ、あの人があの人が…このあたりも、北森ファンにはたまらない展開だ。
できれば、彼のその、行った先での活躍も見たいのだが、それではシリーズの趣そのものが崩れてしまうだろう。我慢しよう。彼がその望みを無事果たすことを祈る。