泡坂妻夫『トリュフとトナカイ 現代ミステリー短編集4』(岩崎書店)

現代ミステリー短編集〈4〉トリュフとトナカイ (現代ミステリー短編集 (4))
現代ミステリー短編集〈4〉トリュフとトナカイ (現代ミステリー短編集 (4))泡坂 妻夫

岩崎書店 2006-11
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 泡坂ブームの続き。
 この本は、出版社といい体裁といい、どうも大人向けではないシリーズみたいです。4作品を、それぞれ違う短編集からセレクトしたもので、文字も大きく、シンプルな挿絵つき。だいたい小学校高学年ぐらいから読めるでしょう(リライトではありません)。
 どの作品も、まあ泡坂作品は久しぶりなんですが、やはり飄々としているというか、淡々としているというか、アクはありすぎず、かといって騙される楽しさはちゃんとあるという軽めのテイスト。
 解説は山前譲さん。簡単な作者についての解説があらためてついているので、やはり若者向きでしょう。
 この解説では勿論、泡坂先生とマジックの関わりにも触れられていますが、
「(マジックでも)なまじトリックがわかってしまうより、鮮やかにだまされた方が楽しいかもしれません。ミステリーでも同じことが言えます。」
 …うん!その通りだよ!(笑)
 私は、余程のことがない限り、ミステリーを読んでいて早い段階で犯人がわかることはありません。カンも鈍いし読解力もない、ホント低脳な読者です(笑)。
 ミステリーを読んで、「あー面白かった」で、パタンと本を閉じて、数秒後にはもう犯人を忘れていることすらあるぐらいです。
 ある意味、最も幸せなミステリー愛好者かもしれません(いや、買って持ってるほど好きな本は、犯人憶えてて却って読み返せないんだけどね…)
 本は好きですが頭を使う読書ってほとんどしたことがないですね。私にとっての読書は勉強でも知識を得るためのものでもなく、ただの娯楽です。
 でも、小説を娯楽と思えなかったらつまんなくないですか。
 所謂文豪だって、元々、何かを考えさせ、悩ませるために本を書きましたか。まず面白いから売れたわけでしょう。
 小理屈は要らない。文学の研究者を貶すつもりはないけど、面白いならどう楽しんだっていいじゃん。
 そういうわけで、泡坂作品も久々に(調べてみたら全体の3分の2ぐらいしか読んでませんでした)、未読のものも、読み返したいものも、暫く読んでみます。