鮎川哲也『西南西に進路をとれ』(集英社文庫)
西南西に進路をとれ (集英社文庫) | |
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世の中には、実に下らない理由で殺人を計画する人が多いんだなーと(いや小説だって)思った(笑)
勿論みんな失敗するけどね(笑)
鮎川作品と言えば長編はもう超絶だと思ってますが(『憎悪の化石』『黒い白鳥』は永遠のリスペクトである!)、この短編集は軽く読めるものです。つまりは、毎回、余りにも小さなミスから犯人がばれてしまうという。
長編も短編もありったけ読んだけど、まだいくつかは残ってそうな気がするなあ。
あと、『ペトロフ事件』をはじめ、この人のロシアがらみの舞台の作品には、かつて日本にとって一番身近な外国がロシア、ドイツだった時代があったことを思い出させられる。あの時代も決して間違ってはいなかったと思うんだよな。特にドイツの哲学だとか文学だとかを学んでいたことには。ドイツやロシアに対する日本人の考え方ほど、戦後劇的に変わったものはない。尊敬と崇敬から一方的な排除へ。まあロシアについてはソ連になっちゃったからしょうがないんだけど、ドイツから日本が学んだことまで全て否定することは…もうそんな時代でもない、よね。