井上祐美子『非花(はなにあらず)』(中央公論新社)
非花(はなにあらず) (中公文庫) | |
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才女の登場する最初と最後の2編は、実在の女性。間の2編は、不思議な架空の物語。どの物語も面白かった(どうですこの、才気のかけらもない感想!(笑))。敢えて説明するなら、どの話も激動の時代で、主人公たちは基本的に国難に巻き込まれており、その中でストーリーが展開する。1話目の実在の女性詩人については、私は脳足りんなのでその心情はよくわからないものの、余りにも無邪気すぎる強さで、本人は幸せだったろうなと思う。2話目の菊は、女性が登場するものの主役ではなく、しかし不思議な登場人物と国難と女性の縁談が二転三転していき、ちょっと味な仕上がり。3話目は、ファンタジックかつ、主人公の成長ぶりがいい話。4話目は、時代が清末で、ちょっと女性には重い内容。ただ、この小説が書かれなかったら日本人は知らないような実在の女性や当時の中国の高官の生活が描かれていて、非常に興味深い一編。敢えて1つ選べと言われたら、薔薇。でもどれも同じぐらい読後感がよかったなあ。