奇想の王国 だまし絵展

 於Bunkamuraミュージアム
 http://www.bunkamura.co.jp/museum/lineup/09_damashie/index.html
 行ったのはもう丁度1週間前の日曜(笑)
 10時過ぎに行ったら結構混んでて、チケット売り場に列ができてました。本当は朝一に行くつもりだったのですが、その後の友人との待ち合わせの時間が遅くなったのでのんびり出かけてしまい、着いてみて「しまったー休日なんだから混むということを考えてなかったー」。そうだ、朝一で行こうと思ったのは、混んでるだろうってのもあったのをすっかり忘れてた…
 中もなかなか進まない状態だったのですが、私はあんまり、行くには行くけど現場ではじっくり立ち止まりはしないタイプだし今回は実際余りゆっくりもしていられなかったのでささっと、時々前に出て見る、というぐらいで、1時間もしないで出てきてしまいました。
 時間制限だけでなく、「だまし絵」という割には、全然騙してくれなかった!ってのもあって。
 ポスターに使われている、イッツだまし絵!が最初にあった他は…
 騙されなかった(笑)
 まず、いかにも、だまし絵と言われて想像するような古めのヨーロッパものは意外と少なく、全体の半分あるかないか。その中でも、「壁にリボンを渡して留めた状差し」の絵が結構あったのだが、こういう絵って、何気なく壁にくっつけてあれば「おっ」と一瞬なるけど、額縁に入って「絵です」って展示してあると全然騙されないのね…。
 いや、「だまされるための展示」じゃなくて、あくまで「『だまし絵』というジャンルの絵を見るための展示」なのか…私が期待しすぎだったのか…
 でも、考えてみれば、目玉の、初来日のルドルフ2世だって、これは「だまし絵」というより「不思議絵」だと思った…
 同じアルチンボルドの、同じ、人のバストショットを動植物で表した作品は、確かいくつかルーブルでも見た覚えがあるん…だけど…不思議なのであって、騙すための絵ではないよなあ。
 と考えると、そもそも、描かれた人物が額縁から飛び出していれば「だまし絵」なんだろうか、という根本的な疑問に…既によくわからない(笑)。
 でも、このちょっと不満な前半に対して、後半は楽しめた。
 まず、日本のだまし絵。これも「不思議絵」でもあるし、騙そうという気もマンマンで、日本にも、有名な、顔を沢山の人体で表現したものの他にも色々あるんだなあと初めて知った。
 マグリット、ダリ、エッシャーという巨匠。
 …は、好きだから個人的には嬉しかったけど、
 だまし絵か?これって(笑)。
 これも、敢えて一言で言えばやっぱり「不思議絵」であって、騙そうっていう絵じゃないよ…。
 だって、マグリット展もエッシャー展も同じ美術館で見たけど、そういう単独の時は「だまし絵」っていう言い方はしてなかったと思う。(エッシャーのふしぎ絵=物理的に不可能なはずの状景の絵=は、一瞬普通の絵に見える、っていう意味でのだまし絵として出てたのかな…)
 だもんで、このへんになるともう、企画者側の言う「だまし絵」の基準がよくわからなくなってくるのだった。
 だまし絵と奇妙・不思議な絵の区別がついてないのか敢えてつけてないのか。
 とにかく、もっと乱暴に大きく「ヘン絵」の展示だったのか、今回は。
 しかし!
 ラストの方の日本の現代作品や、これも目玉の、飛び出して見えて、自分が動くのについてくるように見える絵!これは一番よかった。この絵の前で何度も行ったり来たりしちゃった。こういうのがだまし絵だよなあ。
 というわけで、あんまりだましてくれなくてちょっと不満なのと、何をもってだまし絵とするかがもしかして曖昧すぎるんじゃないのというわけで、満足とは言い難かった。
 そういえば、だまし絵ミュージアムっていうのも各地にあるし。そういう方が、いかにもだまし絵って感じで、もしかしてよかったりするのかな。