美術二題

 金曜日の午後、適当にTVをザッピングしていて、確かETVで止めて数秒後に、見覚えのある絵が。大和絵風の日本橋三越(ライオン像のない、日本橋側の入り口)。
 山口晃さんの絵で、同時に、「迷宮美術館」の多分再放送だということがわかった。どうも、「東京をテーマにした美術」らしい。
 番組では、更に「六本木昼図」を紹介した後、山口さんの、ご近所のいつもの散歩道、谷中(ここが近所って羨ましい…)でのスケッチに同行。(『UP』連載の「すずしろ日記」によれば、谷中から千駄木だったか、その逆に最近お引越ししたそうである。)
 古い古いお菓子屋さん(と番組では言っていたが、実際の看板は「パン屋」で、まあ「食料品店」である)のある三叉路でのスケッチを基に、そのお菓子屋さんを何に描き変えたか?が問題になっていた。
 ちなみにこの、大きな木のある三叉路はどうも谷中での撮影の「名所」化しているのではないだろうか。他の写真集でも見かけた画である。
 答えは「茶店」であったのだが、問題はその店の裏側、入り組んだ屋根がとても魅力的だと山口さんの言う建物で、庭で風呂に入っている人が覗けるように描かれているのだが、その風呂のすぐ外の壁の、風呂釜と思しきものに「原子力マーク」が…(笑)
 こういうのこそ、山口さん一流の”毒”なんだけど、番組ではスルーされていた。いや、小さい絵だし、収録の時にちょっと出演者が見たぐらいではわからない大きさなのだが、カメラにはばっちりアップで映っていたのだ。
 前に書いた記憶があるが、この番組、「食用美少女・美味ちゃん」の作者を連れてきてもまるっきり普通の方の作品だけ採り上げていたしね。まあ批判はしないですよ。TVだし。多分今回の原子力マークは誰も気づかなかったんだと思う。でもファンが見ればわかる!わかった人はムフフな仕掛けであった。
 そして今朝は、またザッピングしていたらクリムトの絵が出てきて、ナンダナンダ!?と思ったら「日曜美術館」で(…別に国営放送の回し者じゃないのよ)、どうやらクリムトを特集するらしいのだ。速攻で録画開始。初めの1分弱以外は録画することができた。クリムトの特徴である金を使った背景やそこに使われているいくつもの技術や、描かれた不思議な文様が日本の作品に影響されたものだという説は初めて知った。
 こういう風に、「観たかったものが、やるとも知らなかったのに立て続けに2回も観られる」というのは、かなりなラッキーである。